介護業界に限らず、上司というものは基本的に部下から疎まれて、表立って又は陰で文句を言われがちな存在です。
新人の頃は右も左もわからず、とりあえず言われるがままに指導や指示を仰ぐのですが、段々慣れてくると上司の本質が見えてきます。
介護現場においては「尊敬できる上司」というものはあまり存在せず、「恐怖政治を行う上司」か「舐められる上司」に大別されます。
恐怖政治を行う上司は「お局職員」のような権限を濫用した高圧的なヒステリック上司になります。
反面、舐められる上司というのは「とりあえずのお飾り状態」「存在が案山子状態」「存在を無視しても問題がない存在」の人物を指します。
今回は、こういった「介護現場のリーダーや上司が部下に舐められる5つの理由」について記事を書きたいと思います。
リーダーや上司が部下に舐められる5つの理由
介護現場では部下から舐められているリーダーや上司がいます。
本人も薄々気づいている場合もありますが、全く気付いていない場合もあります。
そういった「リーダーや上司が舐められる理由」を解説していきたいと思います。
理由①「お飾りだとバレている」
介護現場のリーダーや上司になるための明確な基準はありません。
徐々にキャリアパス制度を採り入れ基準を明確化させていく方向性にはなっていますが、それもやっと最近のことです。
まだまだ浸透していませんし、今までリーダーや上司だった人物をキャリアパス基準に当てはめて、基準を満たさないからと言って降格させるということも難しいでしょう。
ですから、現状で介護現場で上に立つ人物は「勤続年数」や「独断と偏見」の結果、「消去法で決められている」ということが往々にしてあり得ます。
無資格だったり、管理能力が伴わなかったり、判断能力が欠如していたり、人間性に問題があったりするリーダーや上司が沢山います。
つまり、「お飾りリーダー(上司)」なのです。
そして、それを部下や周りの職員も気づいています。
ただのお飾りであれば、部下にも舐められてしまうでしょう。
理由②「人間性が薄っぺらい」
リーダーや上司には「リーダーシップ」や「人望」が求められます。
しかし、いくら表面上で良いことを言っていても、周りの職員は「人間性の薄さ」に気づきます。
例えば、「感情論や理想論しか言わない」「性格に裏表がある」「責任から逃げる、押し付ける」などのリーダーや上司としては不適格な言動で、部下に「この人は信用できない」「この人に何を言っても無駄だ」と思われてしまうことで段々と相手にもされなくなります。
つまり、「人間性が薄っぺらい」のです。
ペラペラで芯のない人間性のリーダーや上司であれば、部下に舐められてしまうでしょう。
理由③「技術や能力が伴わない」
部下を指導したり指示する立場のリーダーや上司の介護技術が未熟であれば舐められてしまうでしょう。
例えば、「オムツや尿取りパッドの当て方がズレている」「利用者と会話をするたびに不穏にさせる」などです。
周りからしてみれば、「何でこんな技術も能力も無いような人が上司なんだろう」という思いが積もり積もっていき不信感を抱いてしまいます。
勤務表を作らせれば「遅い」「そればっかりやっている」「希望休が反映されていない」などで滅茶苦茶です。
技術も能力も伴わないリーダーや上司が部下に舐められてしまうのは自然の摂理です。
理由④「誰かの受け売り」
お飾りや技術や能力の伴わない上司が、指導をする時はもっともらしいことを言ったり、会議の場で至極理論的なことを発言することがあります。
しかし、普段の人間性や裏表のある性格を知っている部下たちに、マトモなことを言っても聞く耳を持ってもらえません。
つまり、既にリーダーや上司は部下の中で「狼少年」になってしまっているのです。
もっともらしい内容の発言も、よくよく聞いてみると「偉い人」や「何かの経営学や哲学や介護技術などの書物」の受け売りでしかなく、ただそれらを披露しているに過ぎません。
誰かの受け売りしかできない狼少年のリーダーや上司が部下から舐められてしまうのは必然です。
理由⑤「自己陶酔型ナルシスト」
自分の立場(肩書き)や自分自身に酔っているリーダーや上司は、舐められるというよりも気持ち悪いです。
言動も利用者をスケープゴートにした自己陶酔や自己満足でしかありません。
「良いことをしている(言っている)」「自分が認められたからリーダー(上司)になっている」という自分が大好きで仕方がないのです。
救世主妄想と呼ばれる「メサイアコンプレックス」の特徴そのままです。
つまり、自分が輝いていて幸せな気分に浸るためには、常に「弱者」が必要なのです。
もっと言えば、「自分の周りに弱者が居てくれないと自分が輝けなくなるので困る」のです。
そんな立ち振る舞いをする明らかに不健全な状態のリーダーや上司がいれば、部下に気持ち悪がられるでしょう。
最後に
今回は、介護現場のリーダーや上司が部下に舐められる5つの理由について記事を書きました。
似たようなリーダーや上司が、多くの介護事業所に存在しているのではないでしょうか。
介護業界に限らず上司という存在は下から突き上げられがちで、「優しくすればつけあがる」「厳しくすればパワハラと言われる」という状況であるため、さじ加減の難しさがあるのも理解ができます。
しかし、よくよく考えてみると「普段の行い」「技術や能力の欠如」「的外れな言動」「無責任な態度」「ただの自己陶酔」という致命的な部分が原因で舐められてしまっている可能性があります。
介護現場においては、出世するとしても「せいぜい主任止まり」なのですから、「自己陶酔することなく謙虚な姿勢で共に成長していく」という考え方があれば、部下から舐められるということも減っていくのではないでしょうか。