介護職員は介護を行う仕事ですが、実際に働いてみるとその書類仕事の多さに驚きます。
利用者の日々の生活の記録だけでなく、モニタリングや議事録やリスク報告書の作成など、結構な時間を取られます。
しかし、現場が常に人員不足のために現場を最優先させた場合、書類仕事をする時間がなかなか取れず苦慮している介護職員も多いのではないでしょうか。
今回は、介護職員が書類仕事をサービス残業で行わざるを得ない実情について記事を書きたいと思います。
書類仕事をサービス残業で行ってしまう理由
このご時世ですから、さすがに「サービス残業を推奨している事業所」は、ほぼ無いかと思います。
残業した分には残業手当をつけないと、すぐに「賃金不払い」として問題になり、痛いしっぺ返しを食らうからです。
しかしその裏には、介護職員が「隠れサービス残業」を行っている実態があります。
理由①「書類仕事はサボっているように見られる」
介護職員も多くの書類仕事を抱えていることは周知されているものの、何故かその書類仕事をしているとサボっているように見られてしまう節があります。
何故なら、現場が常に人員不足で利用者の対応に苦慮しているからです。
そんな状況で書類仕事をしている姿が上司などの目にとまれば「のんきにパソコンの前に座っているなんてどうかしてる、働け!」と言われてしまいます。
「いや、残業で書類仕事をしようと思いまして…(働いているんです)」
と言っても
「現場が回っていないのだから書類よりも先にやることがあるだろう」
などと言われてしまうでしょう。
現場業務にはキリがないので、そんなことを言っていたらいつまで経っても書類仕事などできないのですが、「現場が最優先」という理不尽な理屈に押し負けてしまいます。
そもそも書類仕事も仕事であってサボっているわけではありません。
仕方がなく、タイムカードを押したあとに
「もう今の時間からは給料は発生しないのですから、私のやることに何の文句もないでしょう」
と言わんばかりの状況を作り出してから書類仕事をすることになります。
理由②「パソコンの台数が足りない」
介護職員に与えられたパソコンは1台か2台です。
日常業務として、利用者の記録や実績の入力もしなければならないのですが、パソコンが空いていなければそれもできません。
上司や看護師が1台占拠してしまっていれば、残りは1台しか空いていません(パソコンが2台ある場合)。
その空いたパソコンでモニタリングや議事録を作成していると、現場職員が記録や実績入力をしたくても使えません。
都度、声を掛けて席を譲ってもらったり譲ってあげたりはするのですが、だんだんとお互いが疎ましく思えてきてしまい、パソコンが空いていそうな時間にサービス残業で書類仕事をするようになってしまいます。
パソコンが元々1台しか無い場合はもっとやりづらいでしょう。
理由③「自己犠牲が強い職員」
上記に書いたような理由があるので余計ですが、自己犠牲の強い介護職員が自らサービス残業で書類仕事を行っています。
ちゃんと残業手当を貰って書類仕事をすればいいのに、とは思いますが
「いえ、自分の仕事なので…」
と言ってタイムカードを押してから書類仕事をするのです。
「自分の仕事であっても公けの仕事であっても、仕事は仕事なのだから対価を貰って当然」なのですが、遠慮深いというか、自己犠牲の精神が根強いというか、結構こういう職員も多いように感じています。
介護職員にも書類仕事をする時間を
介護職員にも多くの書類仕事があることはわかっていることなので、上司を含め事業所全体で「介護職員が書類仕事をできる時間を確保していく」という環境づくりが大切です。
日中ではこういった実情があるために、夜勤の空いた時間で書類仕事をされている介護職員もいらっしゃることでしょう。
実際、私もそうなのですが、「夜勤が無いと書類仕事ができない環境」になってしまっています。
モニタリングや月次報告書などは、月末に行う必要があるために、「月末に夜勤が無ければ書類を作成できない」ということになってしまいます。
現状のように、介護職員の自己犠牲に甘えてばかりいる上司や事業所は、そういった実情を理解し、至らぬ点をしっかりと反省した上で、介護職員にも書類仕事ができる時間を確保していって欲しいと思います。
最後に
今回は、介護職員が書類仕事を隠れサービス残業で行わざるを得ない実情について記事を書きました。
上司がちゃんと理解を示し、書類仕事をする時間を確保してくれている事業所であれば、働きやすい環境だと言えます。
しかしまだまだ隠れサービス残業で書類仕事を行っている介護職員も少なくないのではないでしょうか。
書類仕事も業務のうちなので、残業をした分はしっかりと残業手当をもらいましょう。