リアル介護現場の実情

介護施設(主に特養)での入浴は夜ではなく日中に行われる理由と体験談

投稿日:2020年5月15日 更新日:

 

介護施設では、多くの場合利用者が入浴する時間帯は日中になります。

しかし、よくよく考えれば自分も含め「お風呂は夜に入る」というライフスタイルの人が多いのではないでしょうか(夜勤明けの日は日中に入浴しますが)。

利用者も介護施設に入所するまでは、夜に入浴していた人が多いことでしょう。

そう考えると、「介護施設では一律日中に入浴が行われる」ということに違和感を覚えてしまう人もいるかもしれません。

そもそも、ユニットケアでは「その人らしさ」や「個々の生活リズム」を尊重していく方針のはずです。

ですから、利用者が「夜にお風呂に入りたい」というニーズがあれば、それを尊重し前向きに対応していかなければならないのですが、夜間の入浴はなかなか実現しづらいのが現状です。

何故なら、結論から言えば「夜間は職員数が少ないため入浴に対応できないから」です。

「職員数が少ないなら夜間に職員数を手厚くすればいいじゃないか」と思われるかもしれませんが、ただでさえ人員不足の介護現場ではそう簡単にはいかないのが実情です。

今回は、介護施設(主に特養)での入浴は夜ではなく日中に行われる理由と夜に入浴介助を実施した体験談について記事を書きたいと思います。

 

 

 

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介護施設での入浴は夜ではなく日中に行われる理由

 

 

介護施設での入浴が夜ではなく日中に行われる最大の理由は「夜間の職員の人員配置が少ないから」ということを冒頭で申し上げましたが、以下で詳しく見ていきたいと思います。

 

理由①:夜間は基本的にワンオペ(一人体制)

介護施設での人員配置基準では、夜間のワンオペ体制が認められているため、基本的に職員1人で複数の利用者の対応を行います。

そのため、夜間の入浴には対応することが出来ません。

仮に、夜間の職員配置を2人や3人に増やした場合、そのしわ寄せが日中の職員配置にきてしまい「こっちを立てればあっちが立たず」という状態になってしまうのです。

その分、職員を多めに雇えばいいのでしょうが、それだけのために職員を雇うことは非常に効率が悪くナンセンスですし、そもそも、そう簡単に職員確保ができるのなら今現在人員不足に苦しんではいないことでしょう。

「夜にお風呂に入りたい」というニーズは尊重しますが、現実問題として職員の配置数の関係で実現困難という実情があるのです。

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理由②:看護師が不在の時間帯

職員配置の関係で、夜間は職員数が少ないために入浴を実施することが困難であることは前述しましたが、併せて「夜間は看護師が不在」という理由もあります。

多くの場合、夜間の看護師はオンコール体制であるために、入浴に関わることができません。

つまり、

  • 入浴前後に医療的な処置が必要な場合それができない
  • 急な体調不良やヒートショックに看護師がすぐに対応できない
  • 転倒や転落などの事故に看護師がすぐに対応できない

ということになります。

特に入浴はヒートショックや転倒などが発生しやすい環境になります。

「夜に入浴したい」というニーズは尊重しますが、「利用者本人にもデメリットがある」ために、なかなか夜間の入浴が困難なのです。

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理由③:キリがない

利用者のニーズを「キリがない」と斬り捨ててしまえば元も子もありませんが、

  • 現状を冷静に判断
  • ニーズの優先順位を検討
  • 安全第一

などの多角的な視点で見ていくことが必要です。

例えば、1人の利用者が夜に入浴することになった場合、それを見た他の利用者やその家族などが、「自分も夜に入りたい」「うちの親も夜に入浴させて欲しい」などということになれば、それこそキリがありませんし介護現場が崩壊してしまいます。

こっちの利用者は夜間の入浴対応をして、あっちの利用者には対応しないということになれば、不平等感や不公平感を与えてしまいクレームや苦情にも繋がってしまうかもしれません。

だからと言って、全てに対応することは非常に困難な話です。

ですから、「夜にお風呂に入りたい」というニーズは尊重しつつも、多角的な視点で検討し施設の現状やリズムなどと擦り合わせた結果、その先のことまで考えるとキリがなくなってくるため「夜間の入浴は難しい」ということになります。

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夜にお風呂を提供した体験談

 

 

介護施設では夜の入浴が困難であるという理由を述べてきましたが、実は過去に一度だけ「夜にお風呂に入りたい」というニーズを実行したことがあります。

当時は、ユニットケアが推奨され始めた頃で「利用者のありとあらゆるニーズに沿うことこそ個別ケア」という風潮が今よりも強かったのと、利用者本人とその家族の希望も強かったことが介護施設での夜の入浴に踏み切った一因だと推察しています。

結論から言えば、「夜の入浴を実施したものの、結局は日中の入浴に戻った」ということになります。

それでは、私の体験談をご紹介していきます。

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夜の入浴を実施するための職員配置

介護施設で夜間に入浴をするためには、職員の配置の問題があり実現困難であるということはご理解頂けたかと思いますが、これをクリアするために、

  • 日勤の介護職員が残業で対応
  • 遅出の介護職員が残業で対応
  • 看護師が残業で対応

という方法で夜の入浴を実施するための職員をカバーしました。

要は、夜の入浴を希望している利用者が入浴する日は、介護職員と看護師が残業をして対応をするのです。

ですから、「夜の入浴」とは言っても、22時や23時の対応は不可能で、夕食後の「19時頃からお風呂に入る」ということになります。

これならば、20時までには何とか入浴を終えることができます。

念のため、利用者本人と家族には「職員の配置や出勤次第では夜の入浴ができない場合もある」ということには同意して頂いた上での実施になります。

 

夜の対応をしても入浴拒否をする日があった

夜の入浴を職員の残業で対応していましたが、時々利用者本人が、

「今日はやめて明日の夜に入るわ」

と言い出すことが増えてきました。

その日は、事前に入浴日であることを伝えていたのに、です。

入浴拒否とまではいきませんが、要は「入浴日に入りたくない」と言うことが増えてきたのです。

理由は、

「気分がすぐれない」

「今お風呂の気分じゃない」

などです。

ここで困ってしまうのが、残業までして入浴のために待機をしていた職員です。

何故なら、その利用者のためだけに残業をしていたのですから「しなくても良かった残業」になってしまいます。

また、翌日の職員が入浴対応のために残業できるとも限りません。

「今日入浴しないのなら、明日は日中の入浴になりますよ?」

と聞くと

「それでもいい」

と言うのです。

ここで感じたのは、「日替わり弁当のように変化するニーズにどこまで対応しなければならないのか」「ニーズにも線引きが必要ではないか」ということです。

 

結論:日中の入浴に戻った

「夜の入浴を拒否したこと」「翌日の日中に入浴を行ったこと」などを記録に書いていき、カンファレンス(サービス担当者会議)の議題にあげました。

事前に「職員の出勤状況次第では夜の入浴ができない場合がある」という同意を得ていたこともあり、家族は「本人がそれで良いなら良いです」ということになり、ニーズの優先順位は下がっていきました。

暫くは(3か月くらいだったと思います)夜の入浴の声掛けを継続していましたが、日中に入浴の声掛けをしてみると普通に入浴されることも増えてきました。

施設での生活に慣れてきたこともあるでしょうし、認知症の進行もあり「夜に入浴したい」というニーズも無くなり、結局は日中の入浴に戻りました。

個人的な感想としては、色々思うことはあるものの振り返ってみれば「良い経験のひとつだった」と思っています。

 

 

 

最後に

 

今回は、介護施設(主に特養)での入浴は夜ではなく日中に行われる理由と夜に入浴介助を実施した体験談について記事を書きました。

介護施設で夜に入浴をすることはダメだとか絶対不可能だと言っているわけではありません。

対応可能であればやってみるのも良いでしょうし、不可能だと言える理由や根拠があるのならお断りしていくことも必要でしょう。

要は、「ニーズに優先順位をつけて施設の現状や職員の配置などと擦り合わせをしてみると「なかなか困難」という場合が多く、日替わり弁当のようなニーズには一定の線引きが必要」という結論になります。

全てを受け入れるのがプロではなく、出来ないことは出来ないと判断できるのが本当のプロなのです。

 

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