介護職員が退職しようとしても、上司などから引き止められてなかなか退職できないということがあります。
誰であろうと退職したり転職する自由があるのですから、過剰で異常な引き止めを行うことは人様の人生を振り回す暴挙でしかありません。
しかし、人員不足に喘ぐ介護事業所ではあの手この手で退職を引き止めようとしているのも事実です。
「北風と太陽」という寓話がありますが、異常な引き止め工作を行う介護事業所は強く冷たく吹きすさぶ北風でしかないため、残念ながら退職希望者の辞意は益々頑なになり嫌悪感さえ抱かせてしまっているのです。
退職を引き止める小手先のことばかりに精を出すのではなく、もっと根本的な問題に目を向けて職員を大切にする太陽のような存在でなければ退職希望者は後を絶たないことでしょう。
ただ、ここで困ってしまうのは退職をしたい職員です。
何故なら、「辞めたくてもなかなか辞めることができないから」です。
結論から言えば、「引き止め工作など物ともせずに強行突破で退職する」という方法が一番簡潔な正攻法なのですが、現実問題として「そう簡単にはいかない」という場合も往々にしてあるため困っている人が多いと言えます。
円満退社であろうとそうでなかろうと、どちらにしても退職をするということはなかなかの労力とエネルギーが必要なのです。
ましてや、退職を過剰に引き止められたら尚更です。
今回は、総まとめとして介護職が退職を引き止められた時の断り方と辞める方法をご紹介したいと思います。
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もくじ
介護職が退職を引き止められた時の断り方と辞める方法
介護職員が退職を希望した際の上司や事業所の引き止めパターンは、大きく分けて以下の3つがあります。
- 威圧的高圧的パターン
- 保留引き延ばしパターン
- 追いすがりパターン
それぞれのパターンについて、断り方と辞める方法をご紹介していきます。
この引き止めパターンについては、下記記事でもご紹介していますのでチェックしてみて下さい。
1.威圧的高圧的パターン
介護職員の辞意に対して、威圧的高圧的に引き止めるパターンです。
例えば、
「利用者や他の職員に迷惑が掛かるという自覚はないのか」
「辞めるなら損害賠償を請求するぞ」
などになります。
あたかも「退職するこちらが一方的に悪い」といわんばかりの決めつけであり責任転嫁になります。
威圧的高圧的に引き止められると萎縮してしまったり恐怖心から辞意を撤回してしまう人もいるかもしれません。
しかし、それでは上司や会社の思う壺です。
断り方と辞める方法
威圧的高圧的に退職を引き止められた場合、どうすればいいのでしょうか。
まずは自分をしっかり持って、萎縮したり恐怖心で辞意を撤回しないようにしましょう。
何故なら、「威圧的高圧的な上司がいる事業所で働き続ける方が不幸であり苦痛」「そもそもこちらは何も悪くないから」です。
「利用者や他の職員に迷惑が掛かる」という言い分はごもっとものように聞こえますが、「どんな状況であれ退職とは基本的にそういうもの」ですし、「そもそも労働契約なのですから契約を解除するのは自由」なのです。
また、「損害賠償を請求する」という言い分はただの脅しに過ぎません。
会社のお金を横領したり着服していたというような法律に抵触するような事実がなければ損害賠償の責はありません。
ですから、辞意を伝えると脅迫まがいのことをしてくる方が異常ですし、上司や会社の方が法律に抵触しているため、そんな会社に残留する判断はあり得ないことがわかるかと思います。
この場合、
- 労働契約なのだから退職の自由も保障されている事実を伝える
- 損害賠償を請求される謂われはないことを伝える
- 上司とのやりとりを録音したりメモに残しておく
- 辞意は変わらないことをはっきりと伝える
という方法で引き止めを断りましょう。
脅してくるような異常な事業所ですから、繰り返し断り、辞意は変わらないことを何度も言い続けていく必要があることもあり得ますが、あまりにも交渉が平行線だったり、悪化していくようであれば、早めに労働基準監督署(以下、労基署)に相談をしておくことも大切です。
「労基署」の名を出しただけで急に退職交渉がスムーズにいくケースもあるようです。
2.保留引き延ばしパターン
介護職員の辞意に対して、保留をしたり引き延ばして引き止めを行うパターンです。
例えば、
「今は忙しいからまた後日に聞くわ」
「新しい人が入職するまで待って欲しい」
などと言って退職を保留したり退職日を引き延ばす引き止め方法です。
この状況のことを俗に「介護職員の退職待ち」と言います。
退職を保留にすることで、うやむやにしようとしたり、いつまで経っても後任が見つからずに退職することができないため、このパターンも上司の思う壺になります。
介護職員の退職待ちについては、下記記事にまとめていますのでチェックしてみて下さい。
断り方と辞める方法
保留されたり引き延ばされるなどの「退職待ち」をさせられそうになった場合、どうすればいいのでしょうか。
まずは上司にはっきりと辞意と退職日を伝えることをしなければなりません。
何故なら、それをしなければいつまで経っても退職できないばかりか、上司は「正式には何も聞いていない」という言い逃れをすることでしょう。
また、「後任が決まるまで」という期日の無い言い分は、全くもってこちらにメリットがありませんので最初からキッパリと断ることが重要です。
具体的な断り方や辞める方法をまとめると、
- 上司に正式に辞意と退職日を伝える
- 後任が決まるまで待てないことをハッキリと伝える(押し通す)
- 転職先の出勤日が決まっていると伝える
- 上司とのやりとりを録音したりメモに残しておく
- 退職願を受理してもらえない場合は内容証明郵便を利用する
- 労基署に相談する
- 退職代行サービスを利用する(【弁護士法人みやび】の退職代行の問い合わせと交渉サービスはこちら
)
ということになります。
退職代行サービスの利用は賛否両論ありますが、あまりにも異常な引き止めを行う会社に対しては利用するのもありでしょう。
但し、業者選びは「法律事務所の弁護士であること」を確認しておくことをおすすめします。
3.追いすがりパターン
介護職員の辞意に対して、追いすがって引き止めを行うパターンです。
例えば、
「あなたが辞めたら現場が回らなくなるからお願いだから辞めないで」
「待遇に不満があるなら改善するから考え直して」
などと言って情に訴えかけたりつけこんでくる引き止め方法です。
上司が下手(したて)に出て自分を高く買ってくれたり懇願してくれば、考え直して辞意を撤回しようという気持ちになるかもしれません。
しかし、冷静に考えれば自分一人が辞めたくらいで回らなくなる現場では安心して働けませんし、そもそも退職を引き止めるために誰にでも言っている台詞ではないでしょうか。
また、待遇の改善はありがたい話ですが、本当にそれが可能なのであればもっと早く実現できていたはずなのに、退職を決意するまでそれをしなかった体質の方が問題です。
そう考えれば、辞めるが吉でしょう。
断り方と辞める方法
退職を引き止めようと追いすがられた場合、どうすればいいのでしょうか。
まずは、心が揺れ動いてしまった場合は自分をしっかり持って冷静に判断することが大切です。
人間誰しも欲がありますから、美味しい話に決意が緩んでしまうことはあるものです。
但し、上司の狙いは「そこ」ですから、矢継ぎ早に付け込まれる可能性があるため注意が必要です。
辞意が揺るがなかった場合は、ハッキリと拒否をして退職の意思は変わらないことを伝えましょう。
まとめると、
- 追いすがられても退職の意思は変わらないことをハッキリと伝える
- 上司とのやりとりを録音したりメモに残しておく
という方法で追いすがる引き止めを断りましょう。
録音やメモはやりとりの証拠を残しておくためで、後で「言った、言っていない」という水掛け論にならないようにするためと、労基署に相談に行くことになった場合にも役立ちますので、辞意を伝える際はやっておくことをおすすめします。
最後に
今回は、総まとめとして介護職が退職を引き止められた時の断り方と辞める方法について記事を書きました。
どのパターンにも共通しているのは、
- 自分をしっかり持って辞意をはっきりと伝える
- 上司とのやりとりの証拠を残しておく
ということです。
また、状況や場合によっては、
- 労基署に相談に行く
- 退職代行サービスを利用する
という対応も必要になってきます。
「なかなかそこまで思い切ったことができない」「できるだけ迷惑を掛けずに辞めたい」という人ほど「引き止められて辞めたくても辞められない」という状況に陥ってしまっています。
しかし、実は上司や会社もそれをわかっていて、「人を見て言っている」のです。
つまり、あなたのことを「思い切ったことも言い返すこともできない性格の人物」と判断していて、そこに付け込んでいるのです。
もっと言えば、その状況こそが「言った者勝ちの世界を創り出している」と言っても過言ではありません。
必要なのは、もう一歩のアクションと勇気なのではないでしょうか。
退職を引き止められてなかなか辞めることができない人のご参考になれば幸いです。