介護業界では「転職ありき」の業界になってきています。
もちろん、転職は悪い事ではありません。
自分と相性が良い事業所や今よりも待遇が良い事業所に巡り合える可能性が広がります。
そして何より、「職場環境や人間関係をリセットさせる一番手っ取り早い方法」でもあります。
しかし、「何か気に入らないことがあればすぐ転職」「何度も何度も転職を繰り返す渡り鳥のような生活」には注意が必要だと思っています。
最終的には自分が決めれば良いことですが、少なからず転職を繰り返すことのデメリットも存在します。
今回は、介護現場の職場環境や人間関係を理由に転職を繰り返すことに注意が必要な理由について記事を書きたいと思います。
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介護現場の職場環境や人間関係を理由に転職を繰り返すことに注意が必要な5つの理由
それでは早速、介護現場の職場環境や人間関係を理由に転職を繰り返すことに注意が必要な5つの理由についてご紹介していきたいと思います。
理由①:転職先の職場環境や人間関係が良いとは限らない
そもそも論ですが、転職をしたとしても転職先の事業所の職場環境や人間関係が必ずしも良いとは限らないため注意が必要です。
結局は、入職してみるまでわからないのです。
ひょっとしたら、「前の職場の方がマシだった」と後悔をする可能性さえあります。
職場環境や人間関係のより良い所を求めて転職をしたのに、より悪くなってしまえば本末転倒です。
何のために転職をしたのかわかりません。
となると、
- 再び転職をする
- 前の職場を円満退社していた場合は出戻りをする
という選択肢になるでしょう。
次の転職先の職場環境や人間関係が良いとも限りませんし、自分が納得できる事業所が見つかるまで転職を繰り返すことになります。
非常にエネルギーが必要ですし、落ち着きませんし安定しません。
前の職場を円満に退職していた場合は、出戻り就職をする人もいるかもしれません。
私も出戻りをしている介護職員を何人か知っていますのであり得る話です。
しかし、再雇用という形になるため、待遇や給料は以前と同じであれば御の字で場合によっては悪くなってしまうというデメリットがあります。
理由②:転職回数が多いことで心象が悪くなる
一般的に、転職回数が多いと面接時や入職時の心象が悪くなるため注意が必要です。
「転職回数が多いだけで不利になるような事業所はこっちから願い下げだ」
「人員不足のくせに応募者の転職回数を気にするような事業所は無能だ」
と言ってみたところで、心象というものはお互い様なのですから相性の問題です。
心象が悪くても採用してくれる事業所もあるでしょうし、あとは自分がどう受け止めてどう行動していくかだけの話です。
自分の言い分や主観や感情ばかりを優先させている人は、転職回数が多かろうと少なかろうと「採用を見合わせたい」と思われてしまうでしょう。
介護事業所だってわざわざ採用コストをかけてまで、そういう火種になりそうな人を採用したいと思わないのは当然です。
話が逸れましたが、転職を繰り返している人は面接の際に、
- また辞めるのではないか
- 協調性がないのではないか
- 何か問題がある人物なのではないか
などのネガティブな心象を与えてしまう可能性は否定できません。
つまり、職場環境や人間関係を理由に転職を繰り返している人は、「ひょっとしたら職場環境や人間関係の火種は自分自身なのかもしれない」と見つめ直してみることも必要かもしれません。
そうでない場合であっても、あなたを知らない人から見れば「内心そう思われても仕方がない状況」になってしまうのですから、闇雲に転職を繰り返すことには注意が必要です。
理由③:転職を繰り返すと転職先が無くなる
転職を繰り返すことで段々と転職可能な事業所が減っていきます。
何故なら、地域内や通勤可能エリア内の介護事業所は限られているからです。
もちろん、
- 他業界に転職
- 引っ越しをして違う地域で就職する
- 円満退社した事業所に出戻る
などの方法がありますから、働く場所が完全に無くなってしまうことはないのでしょうが、少なくとも介護業界内で自分の地域周辺の転職先は徐々に無くなっていきます。
介護現場の人員不足が続く限り何かしらの方法で食いっぱぐれることはないのかもしれませんが、仮にそうだとしても当初の「職場環境と人間関係を理由に転職を繰り返す」という目的が「食いっぱぐれない転職」になってしまうため本末転倒です。
常に新人職員の待遇と収入であれば、「次はどこに転職しようか」ということが頭をチラつき転職可能な事業所を探すことが目的となってしまう可能性があるため注意が必要です。
理由④:職場環境や人間関係は良くも悪くも変化する
転職を繰り返したことで、運良く職場環境や人間関係の良い事業所に巡り合えることもあるでしょう。
正に、本願成就で転職大成功と言えます。
しかし、注意が必要なのは「良くも悪くも職場環境や人間関係は変化する」という点です。
どういうことかと言うと、
- 経営者や上司が変われば職場環境や人間関係が変化する
- 会社の方針が変われば職場環境も変化する
- 会社の経営状態によって職場環境が変化する
- 火種のような新人が入職してくることで職場環境や人間関係が変化する
- 法人内の異動によって職場環境や人間関係が変化する
などを契機として、「今良い環境が悪くなる」ことや、逆に「今悪い環境が良くなる」ということが起こり得ます。
要は、「現在の職場環境や人間関係は恒久的なものではない」ということです。
ですから、「少し耐えれば良くなっていた」「自分の努力で良くなることができた」という場合もあるため、渡り鳥や焼き畑農業のように転職を繰り返すことで、自分自身に無駄な労力とコストが掛かってしまうとすればデメリットだと言えます。
理由⑤:国の制度を利用していた場合、最大40万円の返済が必要
最後は、未だ利用していない人や知っているけど利用する気はない人にはあまり関係がありませんが、「介護人材の再就職準備金」についてです。
よくわからないので利用していない人や全く知らなかった人は是非知っておいて頂き、転職をする際には利用を検討してみて欲しい制度です。
私も転職する際には必ず利用しようと思っています。
この制度は、介護職員として働いていた人が介護事業所に転職する際に「最大40万円の準備金を貸付する制度」です。
「なんだ貸付か、借金じゃん」と思われたかもしれませんが、続きがあります。
何と、貸付後に介護事業所で2年間の介護業務をすることで「返済が全額免除」されるのです。
つまり、「最大40万円貰える」のです。
これは利用しない手はありません。
但し、利用には以下の条件があります。
貸付対象者は、次の(1)~(4)の基準を全て満たす方となります。
1.介護職員の業務に1年以上の実務経験をお持ちの方(介護事業所等での勤務の方)
2.次のいずれかに該当する方
- 介護福祉士の資格を持っている方
- 実務者研修施設において実務者研修を修了した方
- 介護職員初任者研修を修了した者(すでに廃止されている介護職員基礎研修、1級課程、2級課程のいずれかを修了している者でも可)
3.介護保険サービス事業所等において介護職員等として再就職した者
4.介護職員等として再就職する日までの間に、あらかじめ都道府県福祉人材センターに氏名及び住所等の届出を行い、かつ、実施主体が定める再就職準備金利用計画書を提出した者
【引用元】厚生労働省ホームページ「離職した介護職員の皆さまへ ~再就職準備金のご案内~」
今までは地域によって「20万円~最大40万円」という幅がありましたが、現在は全国一律で最大40万円となっているようです(コロナ禍の影響もあるのでしょうか)。
詳しくは上記、厚労省のホームページをご確認下さい(厚労省の該当ホームページが削除され現在リンク切れです)。
ということで話しを戻しますが、転職する際は介護人材の再就職準備金を利用するとして、2年間介護業務をしなかった場合は最大40万円を返済しなければならなくなってしまうため注意が必要です。
「40万円を貰える」のと「40万円を借金する」のでは、全く意味合いも負担も違ってきます。
もちろん、「それならば最初からこの制度を利用しなければいい」という判断も否定はしませんが、よくよく考えれば「自分の収入が減るわけではない」「2年間働くだけで40万円貰える」というデメリットがほぼ無いと言える制度なので、利用する価値は十分にあるのではないでしょうか。
「40万円を返済しなければならないことになったとしても、それでも尚、職場環境や人間関係に耐えられない」という状況であれば転職も致し方がないでしょうが、「金銭的に得ではない」という点には注意が必要です。
最後に
今回は、介護現場の職場環境や人間関係を理由に転職を繰り返すことに注意が必要な5つの理由をご紹介しました。
まとめると、
- 転職先の職場環境や人間関係が良いとは限らない
- 転職回数が多いことで心象が悪くなる
- 転職を繰り返すと転職先が無くなる
- 職場環境や人間関係は良くも悪くも変化する
- 介護人材再就職準備金を利用した場合、最大40万円の返済が必要
ということになります。
繰り返しになりますが、転職自体は悪いことではありません。
ただ、職場環境や人間関係を理由に転職を繰り返した場合、「どこも大差がない」「そもそも、自分が火種では?」という点には特に注意が必要です。
また、闇雲に転職を煽るような雰囲気も散見されていますし、まずは自分をしっかり持って自分の頭で考えた上で行動することが大切です。
下記記事も是非ご参照下さい。