介護職員の離職理由の上位には常に「人間関係」があります。
ネチネチしていたりギスギスした人間関係に嫌気が差して辞めていく介護士が後を絶ちません。
中でも「注意を受ける時」に、その人間関係の劣悪さの本質が垣間見えます。
何かミスや失敗をして注意を受けるわけですから、ミスをした本人は既に申し訳ない気持ちになっているはずです(中には全く気にしていない人が存在していることも否定できませんが)。
そこに更に精神的ダメージを与えるような注意の仕方をすれば「泣きっ面に蜂」「踏んだり蹴ったり」「フルボッコ」状態になってしまいます。
しかし、介護現場ではそんな状態が平然と行われています。
今回は、「介護現場の人間関係」「注意の仕方が精神的ダメージを与えるやり方ばかりの実情」について記事を書きたいと思います。
介護現場での精神的ダメージを与える注意の仕方
そもそも「注意をする」ということは、ミスなどを指摘して、念押ししたり戒めて、今後は「気を付ける」「繰り返さないようにする」という目的があります。
誰だって注意されるのは嫌なものですが、自分がミスをしてしまったとすれば真摯に受け止めて次は同じミスを繰り返さないようにしなければなりません。
しかし、介護現場での注意の仕方は「個人攻撃」「つるし上げ」「精神的ダメージを与える」ということが常態化しています。
そうなると「必要以上に嫌な気分」になってしまったり、「心が折れそう」になってしまったり、「もう辞めたい」と思ってしまう職員が出てきても不思議ではありません。
つまり、「常日頃の精神的ダメージを与えるような注意の仕方が人間関係を悪くさせ、それに比例して退職者が増えていく」という悪循環が起こっています。
ダメージ①「言い方」
同じ内容のことを注意するにしても「言い方」ひとつで印象が全く違ってきます。
ヒステリーのように声を荒げてトゲトゲしい言葉で注意をされれば、誰でも萎縮してしまいますし過剰な精神的ダメージを受けてしまいます。
対人援助を生業としているのですから、職員同士であっても「ただの憂さ晴らし」や「感情のぶつけ合い」にならないように、冷静に言葉を選ぶ必要があります。
過剰な精神的ダメージを負い萎縮してしまったら「今後は気をつけよう」「注意して頑張ろう」という気持ちよりも「ただただ悲しい」「逃げ出したい」「やってられない」という気持ちの方が強くなり、良い仕事ができなくなり、またミスを発生させてしまうことになれば本末転倒です。
ダメージ②「反省文のようにリスク報告書を書かせる」
利用者に関わってくるようなミスや事故があった場合は「リスク報告書」を書く必要がありますが、これは「リスクマネジメントのため」です。
反省文でも無ければ始末書でもありません。
情報を共有して再発防止のためにリスクを管理する目的のものです。
そのリスク報告書を個人の反省文のような体裁で書かせるやり方は不適切です。
しかし、まだまだリスク報告書を個人攻撃の材料にしている介護事業所も多いのではないでしょうか。
毎日のように揚げ足を取られ個人攻撃をする目的でリスク報告書を書かされれば、心が病んでしいます。
「リスク管理の仮面を被った個人攻撃が常態化している事業所は人間関係も劣悪」ですし、職員の退職も後を絶たないことでしょう。
ダメージ③「朝礼や申し送りでつるし上げる」
朝礼や申し送りの場で、わざわざ名指しをしたり明らかに個人が特定できる言い回しでミスを指摘するような個人に向けた注意や攻撃は「公開叱責」というパワハラになります。
また、現場にも職員間の情報共有のために「連絡(申し送り)ノート」があるかと思いますが、ここに特定の職員を名指ししたり特定できるような言い回しでミスを指摘する内容が書かれている場合もあります。
そういった「個人のつるし上げ」が介護現場ではまだまだ横行しています。
「情報の共有を建て前にした公開処刑」をされれば、過剰な精神的ダメージを受けますし、他の職員も「自分もミスをしたらつるし上げられるのではないか」という戦々恐々とした気持ちになり、萎縮してしまうことで人間関係も悪化し良い仕事ができなくなる悪循環に陥っていきます。
最後に
今回は、「介護現場での注意の仕方が精神的ダメージを与えるやり方ばかりの実情」について記事を書きました。
最近は、職場での人間関係に配慮したり少しでも良くしていこうと努力をしている介護事業所も増えてきているようです。
それは大変ありがたいことではありますが、それでもまだまだ人間関係や注意の仕方に配慮できない事業所が多いため「介護職員の離職理由の上位に人間関係がある」と言えます。
精神的ダメージを与えることで相手を萎縮させたり弾圧していく「恐怖政治の介護事業所」がまだまだ多く存在しているのも紛れも無い事実ではないでしょうか。
そして、そういう事業所ほど人員不足が顕著だと言えます。