介護業界の異常性

介護職員の善意によって加害者になってしまう異常な介護現場の実情

投稿日:2020年4月5日 更新日:

 

介護職員は熱意や善意がある方が良いと思われがちですが、実はクールな職員の方が向いていたりします。

もちろん、悪意を持って働いている人など居ないでしょうから普通に働くことが大切です。

介護の教科書や業界の方針とは違う視点になるかもしれませんが、介護現場が日常の延長線上にあるものであるとするならば、介護職員も利用者も普通でいるのがベターなのではないでしょうか。

情熱に燃える職員とクールな職員については、下記記事をご参照下さい。

情熱に燃えている職員よりクールな職員の方が介護に向いている理由

また、介護現場で善意を持つことで介護職員などが加害者になってしまうという、俄かには信じられない環境があるのも事実です。

つまり、良かれと思ってやったことで自分が窮地に陥ってしまう可能性があるのが介護現場なのです。

今回は、介護職員の善意によって加害者になってしまう異常な介護現場の実情について記事を書きたいと思います。

 

 

 

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介護職員の善意によって加害者になってしまう異常な介護現場の実情

 

 

「善意によって加害者になる」とは、良かれと思ってやった結果、民事事件や刑事事件に発展し加害者として裁判沙汰になったり最悪の場合は前科がついてしまうということです。

悪意を持ってやったのであれば加害者になってしまうことも理解ができますが、何故、善意を持ってやったことで加害者になってしまうのでしょうか。

以下で詳しく解説していきます。

 

やればやるほど負担も責任も重くなる

介護に限らずですが、何かをやればやるほど、手を広げた分だけ負担も責任も重くなります。

介護現場では特に、

  • 利用者という人間を相手にしているのでやることが尽きない
  • 人員不足なので1人の職員が1.5人~2人分の働きをしなければならない
  • やることが尽きないことをやっていくことを「やりがい」と呼んでいる

という実情があります。

つまり、善意を持って介護をやればやるほど負担や責任が重くなり、ミスや失敗をする確率も高くなるのです。

業務という名のゴールの無い道を1歩も歩いていない人は転ぶことはほぼありませんが、長い距離を歩いている人ほど転ぶリスクも回数も多くなるのは自然の摂理なのです。

頑張った人ほどミスをしやすくなる上に、そのフォロー体制も無い場合は加害者になってしまう可能性が出てきます。

また、多くのことを気づく職員も同様に負担や責任が重くなる傾向にあります。

「気づける職員」が損をする介護現場の実情

 

ミスに対して損害賠償や刑事責任を問われる脆弱な立場

介護のプロとして業務を行っているのですから、ミスは無い方が良いに決まっています。

しかし、前述したような「やればやるほど負担と責任が増え、ミスを誘発しやすい環境がある」という状況であれば、ミスは必ず発生します。

介護職員も人間なのです。

人間である以上、必ずヒューマンエラーが発生し、しかも「善意を持って頑張っている職員ほどミスが多くなる」ことになります。

そのミスによって、利用者に怪我をさせてしまったり、命に関わるような状態になってしまった場合、家族から民事訴訟を提起されて損害賠償を請求されたり(多くの場合は職員個人ではなく事業所を相手取る形になろうかと思います)、業務上の過失の有無の刑事責任を問われて刑事事件に発展してしまうことになります。

つまり、善意を持って介護を頑張った結果、加害者になってしまうのです。

自分が置かれたやりがいのある環境と自分の善意が組み合わさると、加害者になってしまう脆弱な立場にいるのが介護職員ということであれば全くもって救われません。

この現実を客観的に見て導き出されるのは、「介護現場では善意を持ってはいけない」という不健全な答えになります。

 

介護現場で善意を持ってしまった事例

では、具体的に「善意を持った介護」とはどういうものなのか事例をご紹介したいと思います。

介護職員ではなく准看護師ですが、おやつがゼリーに変更になっていることの確認不足で誤ってドーナツ提供してしまい、利用者がドーナツを喉に詰めて死亡した事件がありました。

最近、この刑事事件の裁判がありましたので記憶に新しいところではないでしょうか。

争点のひとつが、「本来ゼリーを提供しなければならないところを誤ってドーナツを提供してしまったことによる過失」でした。

つまり、准看護師のミスです。

おやつの提供は介護職員がするのでしょうが、介護職員の人手が足らず手が回らないために善意でこの准看護師がおやつの配膳を手伝った結果のミスということですから、「善意を持った結果、加害者になってしまった」ということになります。

この准看護師が今どう思っているのかはわかりませんが、もしも私が同じ立場であれば「良かれと思ってやらなければ良かった」「あの時、善意を持たなければ加害者にならなかったのに」と後悔してしまうでしょう。

この事件に関する考察記事は下記をご参照ください。

【高裁即日結審】特養入所者がドーナツを喉に詰め死亡、おやつを提供した准看護師が罪に問われた事件

 

無理をしない方が自分のため

他にも、例えば自分1人で複数の利用者の対応をしようとして、そのうちの1人が転倒して怪我をしてしまった場合、「対応した介護職員の責任」となります。

しかし、1人の対応に専念していて他の利用者が転倒して怪我をしてしまった場合は「不可抗力」ということになり、事故は事故ですが対応していないのですから介護職員の責任ではありません。

もちろん、どちらの場合も事故報告書は必要になりますが、特筆すべきは「頑張って対応した介護職員は加害者になる可能性が高く、無理をしなかった介護職員は加害者にはならない」ということです。

介護職員としては、転倒事故を発生させたくないので「自分のためにも頑張って対応をする」という心理が働きますが、事故が発生してしまった場合は「対応をしなかった方が自分のため」になるのです。

「保身のために対応をしないなんて不健全だ」という声もあるかもしれませんが、そもそも1人で複数人の対応をする方が無理難題ですし、介護職員を守る体制も保障もない脆弱な立場に置いておきながら不健全だと言えてしまう方が異常なのです。

本当に介護現場を健全化していきたいのなら、まずは環境や介護職員の身を保障していくような体制づくりをしていくことが先決です。

介護職員の名誉のために付け加えておきますが、脆弱な立場と保障のない状態でも健全な介護現場であるために踏ん張っている介護職員が大多数です。

但し、いつまでも介護職員の自己犠牲に頼りっぱなしのままなのであれば、「介護現場では善意を排除した働き方を推奨」します。

無理をして業務を回すから人員が補充されない介護現場の改善方法

 

 

 

最後に

 

今回は、介護職員の善意によって加害者になってしまう異常な介護現場の実情について記事を書きました。

良かれと思ってやったことで自分の首を絞めてしまうことになれば目も当てられません。

職場では「お互い様」の精神で気持ち良く仕事をしたいのは山々ですが、一歩間違えれば加害者になってしまう危険がある以上、そうも言っていられません。

会社が守ってくれないのなら、自分の身は自分で守るしかないのです(刑事事件になれば守ろうにも守り切れない場合もありますが)。

そうなれば、無理をせず善意を排除していくしかないのではないでしょうか。

介護現場で自分を守るための具体的な5つの方法

 

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