介護施設での16時間にも及ぶワンオペ(一人体制)夜勤はとても過酷です。
体内時計も狂ってくるので、「できることなら夜勤をしたくない」と思ってしまいます。
しかし、24時間体制で介護を提供しているので、誰かが必ず夜勤をしなければなりません。
そしてもうひとつ、夜勤をしたくなくてもしなければならない理由として「夜勤手当が無いと人並みの収入にならない」という問題があります。
介護士の平均年収が360万円だとか、平均月給が30万円を超えたという統計や報道もありましたが、要は「夜勤手当を含めないとこの水準を保てない」ということになります。
今回は、「ワンオペ夜勤は負担も責任も重く過酷なので出来るだけ入りたくない反面、収入のことを考えると出来るだけ多く入る必要がある現実」について記事を書きたいと思います。
夜勤回数を増やさないと人並みの収入にならない
ワンオペ夜勤は相当過酷な業務になります。
ひとつひとつの場面を切り取って見れば、確かに「ゆっくりできる時間」「一人になれる時間」「集中して自分の仕事ができる時間」も存在します。
しかし、何が起こるかわからない介護現場で全ての対応を自分一人が任されているので、16時間を繋ぎ合わせると「やはり過酷」です。
ニュースで流れるような介護施設での事故や事件の殆どは、夜勤帯での出来事が多いのも、その過酷さを物語っています。
夜勤手当
そんな夜勤ですが、1回入れば3000円~1万円の手当がつきます。
事業所によって手当の幅がありますが、「平均5000円~6000円程度」ではないでしょうか。
夜勤を月に平均5回入ることで、「2万5000円~3万円」の手当がつきます。
この金額が、介護職員にとっては「生命線」とも言えます。
手取り月収
夜勤を1回もしない場合の介護職員の手取り月収は15万円~17万円程度です。
国家資格である介護福祉士資格を持っていたとしても、夜勤なしではせいぜい17万円~18万円程度ではないでしょうか。
ここに、先ほどの「夜勤手当2万5000円~3万円」がプラスされることによって、やっと「手取り月収18万円~20万円程度」を確保することが出来ます。
収入だけを考えた場合、夜勤の回数を増やさなければ「世間の初任給にさえ届かない」という現実があるのです。
手取り18万円でも生活はできる?
以前、介護士の平均月収18万円をモデルとして「貯金ができるのか?」という記事を書きました。
確かに切り詰めて生活をしていけば、18万円あれば少しは貯金ができるでしょう。
しかし、それはローンなどが無い場合です。
車を購入する時はローンを組む人が多いかと思いますが、手取り18万円でローンを組むと一気に生活が困窮します。
50万円くらいの安い中古車を買ってローンを組んでいる人もいます。
車の良し悪しだけが全てではありませんが、ひとつの目安として「介護施設の駐車場に停めてある車を見れば、職員の生活水準が推し量れる」のではないでしょうか。
夜勤回数を増やしたくなる人
収入のために「夜勤に入りたくないけど入りたい」という矛盾した状態に陥ってしまいがちなのが介護職員です。
「夜勤の回数を増やして下さい」と言わざるを得ない人はどういう人でしょうか。
①人並みの収入が欲しい人
自分の生活リズムと引き換えに、人並みの収入を得るために夜勤回数を増やして欲しい人もいます。
やはり体力のある若い職員に多い傾向があります。
②ローンを組んでしまった人
先ほども少し触れましたが、車のローンを組んでしまったり、住宅ローンを組んでしまった人はこれから支払いに追われることになります。
夜勤1回で収入が5000円~6000円違ってくるので、1回でも多い方がローンの支払いに回せます。
反面、何かのイレギュラーでいつもより1回でも夜勤回数が減ってしまうと途端に困窮してしまうことになります。
介護職員は今月の支払いが「千円足りるか足りないかの世界」で生きています。
③結婚資金を貯めたい人
これから結婚を考えている人にとっては大問題です。
結婚するとなれば、ある程度の貯金をしておきたいですし、収入が1円でも多い方が良いに決まっています。
人生の転機には何かとお金が掛かります。
そういった「介護職員の人生」にまで配慮できる業界であれば良いのですが、そうもいかないので夜勤の回数を増やすしかありません。
最後に
今回は、「過酷なワンオペ夜勤には出来るだけ入りたくはないものの、それでも志願して入らなければならない現実」について記事を書きました。
夜勤回数に関しては、他の職員との兼ね合いもあるので、必ずしも希望通りにいくわけではありませんが、平均5回以上の夜勤をしなければ人並みの収入にならないという現実があるのも確かです。
「夜勤が介護職員の収入の生命線」という状態は、とても不安定な状態であり、夜勤をしなくても人並みの収入が確保できるような給与水準が欲しいところです。