根性論とは、苦難に屈しない精神のことを指し、精神論のひとつになります。
「苦難に屈しない精神」と聞くと、人生においても職場においても必要不可欠な要素に思えます。
しかし、根性論を掘り下げて見ていくと、「根拠がなくても根性さえあればどんな問題も解決ができる」ということになるため、こういった状況に対して、
- 何事にも根拠は必要
- 根性だけでは解決できない問題は沢山ある
- 根性論は古臭くて時代遅れ
というネガティブな側面も有しています。
介護現場でも、まだまだ根性論ばかりでうんざりしてしまう職場もあるのではないでしょうか。
そうなってくると、介護現場に根性論は必要なのか不要なのかが気になるところです。
結論から言えば、「根性論はほぼ不要だけど、ちょっとは必要」というどっちつかずの内容になります。
白黒ハッキリさせたいのは山々ですが、よくよく考えてみれば「全く根性がない人」にはあまり魅力を感じないことから、「根性論も少しは必要だろう」という結論になりました。
以下で詳しく解説していきたいと思います。
介護現場に根性論は必要?不要?
介護現場に根性論が必要か不要かの結論は、「ほぼ不要だけど、ちょっとは必要」ということを冒頭で述べましたが、どういうことなのかを解説していきたいと思います。
根性論が溢れる介護現場は良くない
私の肌感覚ですが、まだまだ介護現場には根性論が溢れているのではないでしょうか。
例えば、人員不足や業務過多状態に対して、
「しんどい時こそ皆で頑張ろう」
「気合いで乗り越えよう」
ということを言われることがあります。
確かに、気合いや根性で乗り越えられたこともありましたが、よくよく考えると、
- 全く根拠がない行為
- 職員に鞭を打つ行為
- 自己犠牲を強いる行為
- やりがいを搾取する行為
- 体や心が疲弊して音を上げそうになる限界の行為
- 首の皮一枚で介護現場を回している行為
であったことがわかります。
こういった根性論によって職員の体や心が悲鳴を上げ、実際に退職をしていった人も少なくありません。
つまり、「根性論に溢れている介護現場は人材を使い捨てている」と言っても過言ではないのです。
ですから、根性論が溢れている介護現場は良くないと言えます。
チャレンジや成長には根性論も必要
では、介護現場から一切の根性論を排除して、「理論的思考や科学的思考オンリー」にしてしまうことの方が良いのでしょうか。
確かに、全てに根拠があって効率的で無理の無い状態であった方が良いように感じます。
そもそも、介護現場では「根拠が非常に大切」なのです。
しかし、一切の根性論を排除しようとすると全ての行動や言動に根拠が必要となり、円滑さに欠け、少々窮屈になります。
また、そういう状況では「現状維持をしたい」という保守的な気持ちが強くなり、新しいことにチャレンジしにくくなります。
但し、過去記事にも書きましたが、人員確保や職場環境や処遇が劣悪又は現状維持の場合はチャレンジなどしてわざわざリスクを冒す必要はありません。
では、どんな時に介護現場においてチャレンジが必要なのかと言うと、
- 新人職員として入職して新しい仕事を覚えようとする時
- 昇格して介護リーダーや介護主任になった時(もちろん更に上の管理職の場合も同様です)
- 介護職員から他の職種(相談員やケアマネや看護師など)に職種替えをする時
などになります。
もちろん、チャレンジをしていく過程でも根拠があった方が望ましいですが、一切合切根性論を排除してしまうと「自分の成長を阻害してしまう可能性」も否定できません。
根性論を一切排除した場合に、
- 入職しても頑張ることも無くすぐに辞めてしまう
- 気分が乗らないのでズル休みや無断欠勤をしてしまう
- 新しい仕事を覚える意欲に欠ける
- 勤務中に働くのが嫌になり勝手に帰ってしまう
- 給料が安いのだからサボってもいいと錯覚してしまう
などの不健全な状況に陥ってしまうことになります。
そういう時に、「よし、頑張ろう!」という気持ちも必要なのではないでしょうか。
ですから、必要以上に自己犠牲を払ったり根拠のない自信で突っ走ることは推奨しないものの、「根性論もちょっとは必要」ということになります。
そもそも、まだまだ人体や脳の可能性が完全に解明されているわけではないのですから、根性論を時代遅れだと言って完全に排除してしまうことはナンセンスだと言えます。
最後に
今回は、介護現場に根性論は必要なのか不要なのかということについて記事を書きました。
まとめると、
- 根性論はちょっとは必要だけど殆ど不要
- 根性論が溢れている介護現場は良くない
- チャレンジや成長には根性論も必要
- 根性論を完全に排除してしまうことも不健全
- 人体や脳の可能性が完全に解明されていないので根性論の完全排除はナンセンス
ということになります。
根性論が溢れている介護現場は、その割合を減らしていかなければ悪循環が断ち切れません。
「頑張れ」「頑張ろう」と言うだけではただの応援団です。
大切なのは、根拠を持って「何故、頑張れないんだろう」「どうやったら頑張れる職場環境が作れるのだろう」ということを真剣に考えていくことなのではないでしょうか。