介護施設に多い「不毛な会議」7つの原因と5つの改善策

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介護業界で働いていて感じるのは「会議が多い業界だなぁ」ということです。

しかも「不毛な会議が多い」と感じます。

役職や職種や役割や担当によって参加する会議は職員それぞれ違ってきますが、だんだんと「介護のために会議をしているのか、会議のために介護をしているのかわからない」という本末転倒な結果になってしまいがちです。

今回は「介護施設に不毛な会議が多い7つの原因と5つの改善策」について記事を書きたいと思います。

介護施設にはどんな会議があるのか

介護施設で行われる会議がどれくらいあるのかご紹介します。

事業所によって会議の名称が違ったり、行われていないものもあるかもしれませんが、あくまでモデルケースとしてお考え下さい。

【介護施設に存在する会議】

  • 幹部会議
  • 業務連絡検討会議
  • 入所判定会議
  • 全体会議
  • リーダー会議
  • ユニット(職員)会議
  • フロア会議
  • 居宅調整会議
  • 安全衛生会議
  • リスクマネジメント会議
  • 褥瘡対策会議
  • 感染症対策会議
  • ケース会議
  • サービス担当者会議(略称:サ担、担会)

この会議の中には、ケアマネジメントやケアプロセス上必要な「ケース会議」「サ担」「リスク会議」「褥瘡対策会議」「感染症対策会議」、施設運営上必要な「入所判定会議」「安全衛生会議」が含まれますが、私が不毛だと感じるのは「それ以外の会議」です。

不毛な会議とは?

「不毛な会議」とそうではない会議の違いは「議題や目的がはっきりしているかしていないか」という違いです。

議題や目的があっても「より良いケアをするためには?」というような抽象的な議題では不毛な会議になってしまいます。

会議は

  • 意見を出し合う
  • 今後の対応を検討する
  • 検討した上で方針を決定する
  • 決定したことを皆で実行する

というものでなければ有意義なものとは言えません。

  • ただの連絡事項の伝達の場
  • 意見を乞うだけで検討も対応しない
  • とりあえず形だけ実施するもの
  • 決定もしないので実行もしない

という会議であれば「不毛なもの」と言えます。

不毛な会議になってしまう7つの原因

介護施設で行われている会議が不毛になってしまっている原因を具体的にみていきたいと思います。

原因①「一方通行な連絡事項伝達の場になっている」

現場の人員不足を尻目に毎月会議が開催されるわけですが、会議の内容が「一方通行な連絡の場」になってしまっています。

上司からの連絡事項や、他の会議で決定したことを初めてその場で伝えます。

他の会議で決定したことを時間差で伝達事項として伝えられるため、それまで全員に周知できていません。

周知できていないので実行もできていません。

また、現場では利用者がトイレの訴えをしても会議のお陰で「ちょっと待って下さい」と言わざるを得ない状況です。

「それはスピーチロックになるから言ってはいけない」

などという高尚なことは現場を見てから言って欲しいものです。

利用者に迷惑を掛けてまでやらなければならない会議でしょうか?

とても正常な運営体制とは言い難い状況です。

全くもって不毛な時間だと言えます。

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原因②「勤務調整をしたり休日出勤する必要がある」

シフトも会議開催日に合わせて出勤者を集めるので、他の日が人員不足になり「しわ寄せが発生」してしまうデメリットがあります。

また、会議開催の日に公休の職員は休日出勤しなくてはならない可能性もあります。

「強制ではない」という名の「半強制」です。

人員不足の状況の中で、「利用者のためではなく会議のため」に勤務を調整せねばなりません。

これでは「利用者のために会議をするのか、会議のために介護をするのか」本末転倒な不毛な時間と言えます。

原因③「議事録作成が負担」

会議出席者は順番に議事録を作成せねばならず、その時間も現場業務を圧迫します。

ただでさえ行き届いた介護をする時間がない上に、「不毛な会議の議事録を作成する」という「不毛な作業」が増えてしまいます。

また、「議事録作成は順番」と言いながらも、出席者が少なかったり、メンバーのパワーバランスによって高頻度で順番が回ってくることも珍しくはありません。

原因④「議題が決まっていないので意見泥棒の場になっている」

会議の議題がはっきりしていない場合は、とりあえず意見を求められます。

「何でもいいので意見を出して下さい」

「意見を参考にします」

と言われて、出された意見が「議題」になります。

しかし、急遽出された意見が解決する場合は良いですが、結局は

「参考にさせて頂きます」

「また上の人間と検討します」

で終わってしまい解決どころか意見を述べるだけの場になってしまいます。

その後、解決したり進展があれば良いのですが、

「あ、忘れてた」

「その話はまだ進んでいません」

「また改めて検討しておきます」

などという返事しか返って来ない場合が往々にしてあります。

意見を取られるだけ取られて、全く無意味で不毛な時間になるのです。

これではもう会議で意見を言う気にはなりませんし、出席することさえ不毛に感じてしまいます。

意見を取るだけ取って何の解決も改善もしないのなら「意見泥棒するだけの不毛な会議」と言っても過言ではないでしょう。

原因⑤「特定の職員の独壇場になる」

職員同士のパワーバランスもありますし、性格も人それぞれです。

また、介護業界では「声の大きい人の意見が通りやすい」という風潮があるので、毎回会議の場で特定の職員だけが喋り続ける独壇場となることがあります。

正直、「的を得ていない」と感じたり「実行不可能なキラキラした綺麗ごと」だとうんざりしてしまいますし、不毛な時間だと言えます。

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原因⑥「人員確保の結論は出ない(でも毎回言えばいい)」

職員に意見を求めるとよく出るのが

「人員不足をどうにかして欲しい」

「ユニットに人員の補充が欲しい」

という内容です。

こればっかりは何十回、何百回言っても解決しません。

なんせ「不毛な会議をやっているような事業所はほぼ例外なく人材不足」なのです。

現状では「解決しないから放置されている」状態です。

「就職フェアに参加して努力している」

「人が入ってこないんだから仕方がないじゃないか」

「どんどん職員が辞めていくんだから仕方がないじゃないか」

という不毛なやりとりばかりです。

問題は

  • 何故、人が入ってこないのか?
  • 何故、職員が辞めていくのか?
  • 人員不足の現状をどう受け止めどう対策するのか?

ということを突き詰めて考える必要があるのにそれをしないことです。

「どうしようもないから、今いる職員で何とか耐えよう」

という答えしか出せない上司ばかりでは、100年経っても1000年経っても人員不足は解決しないことでしょう。

そんな不毛なやりとりが今日も続くのです。

しかし、「人員不足」に関しては不毛でも毎回発言して「議事録に残しておく」ことは現場職員としては大切なことだと思っています。

万が一、現場でアクシデントや事故が発生した時に、

「今まで何度も人員不足を訴えていた」

「訴えていたのに何の改善もされなかった」

という記録が残っていることは「自分を守ること」にも繋がります。

不毛ついでに「人員確保の意見」を毎回言えばいいと思います。

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原因⑦「欠席者には会議の内容が伝わらない」

会議を欠席した人は会議の内容や結果を知るためには「議事録を読む」「出席した人に聞く」という方法しかありません。

しかし、現場業務が忙しく議事録が完成するのは数日後だったり場合によっては数週間後になります。

その間、欠席した人は会議の内容を知らないのは問題なので、出席した人に聞いたり、出席した人が伝えることになります。

しかし口頭では「ニュアンスの違い」があったり、全て伝えきれなかったり覚えきれなかったりします。

欠席者への周知方法がはっきりと決められていない会議は不毛なものだと言えます。

また、中には

「私は会議に参加していないのだから関係ない」

「その内容には自分は反対だ」

などと言い出す「非協力で非常識な職員」も存在します。

欠席したからといって、会議で決まったことを周知できなかったり、後から「ちゃぶ台返し」をするような職員がいたのでは「不毛な会議」になってしまいます。

不毛な会議にしないための5つの改善策

介護施設にありがちな「不毛な会議」を改善していくためにはどうすればいいのでしょうか。

改善策①「議題が無ければ開催しない」

議題があるから会議をするのであって、議題もないのに会議をする必要はありません。

「会議をするから議題を絞り出す」なんて本末転倒ですしナンセンスです。

会議がただの連絡事項の伝達の場になってしまっている場合は「連絡事項を文章でまとめたプリントを回覧する」という方法が良いと思います。

全員の目に届きますし、まとめられているので頭にも入りやすいです。

改善策②「議題は事前に参加者に知らせておく」

議題がある場合は、事前に参加者にその議題を知らせておき、自分の中で意見をまとめておいてもらいます。

そして、会議の場でその意見を発言することで有意義な会議となります。

改善策③「無駄な話はしない」

会議中に議題が横道に逸れてしまったり、職員個人の自慢話や武勇伝を語り出す人がいることがあります。

それが先輩だったり目上の人であれば制止しづらいものです。

しかし、そこは司会進行役の職員がしっかりと制止をして、無駄な話は極力省き、予定していた時間よりも早く終われるように努力をする必要があります。

「短時間の会議が良くて長時間は良くない」とは一概には言えませんが、「無駄な話は不要」ということは間違いありません。

改善策④「決めたことは全員で実行する」

せっかく会議で結論が出ても、それを実行しなければ意味がありません。

全員で決めたのですから、全員で実行する必要があります。

もちろん、欠席者も会議で決まったことには従ってもらう必要があります。

欠席することは仕方のないことですが、事前に聞いた議題に対してメモなどで自分の意見をまとめて書いておき、参加するメンバーやリーダーなどに渡しておくなどのやり方が良いでしょう。

仮に自分の意にそぐわない結果となったとしても、決まったことは全スタッフで共有して実行することで「統一した介護」が可能になります。

改善策⑤「欠席者への周知方法を決めておく」

欠席者への周知方法を事前に決めておかないと、全員で実行することができません。

自分から会議の内容を知ろうとする欠席者もいれば、我関せずのような職員もいるので、欠席者には「いつ、どこで、どういう方法で」会議内容を伝えるかを取り決めておく必要があります。

例えば「次の出勤日に、寮母室で、リーダーが口頭で伝えて欠席者は必ずメモを取る」などです。

最後に

今回は、介護施設の不毛な会議の原因と改善策について記事を書きました。

会議の中には有益で必要と感じるものもあるので、全ての会議が「不毛」とは言いませんが、介護施設では「不毛と感じてしまう会議が多い」のも事実です。

より良い介護をしていくために会議で検討することも必要ですが、不毛な会議にしないためにも上司や開催者の努力や工夫は必須です。

会議の場でさえも、介護職員や下の人間に負担を被せていたのでは「会議の存在意義」が見い出せません。

全員で話し合う必要があるような議題がない場合は「会議をしない」という決断も大切です。

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