介護職員を辞めたい

「介護職員を辞めた理由トップ3」と「悪いイメージだけを払拭したい介護業界」

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介護現場の人材不足は深刻です。

人材不足の理由は、離職していく人の理由を見ればその原因がほぼ明らかとなります。

何故なら、「その理由こそが介護職員を長く続けられない原因であり現実そのもの」だからです。

もっと言えば、「その原因を解決できなければ今後も人材確保は難しい」ということは誰が考えても理解ができることだと思います。

それなのに、国や介護業界はその原因には目もくれず、解決もしないままに「人材が不足している」と嘆いてばかりいます。

更には「介護に対するネガティブなイメージが定着してしまっているのが原因だ」「ネガティブなイメージを発信している現場職員がいるのが原因だ」というすり替えを行い、情報操作と責任転嫁ばかりしているのが現状です。

いつまで経っても「臭いものに蓋をしたキラキライメージの押し売り作戦」では本当の意味での人材確保は困難なのです。

今回は「実際に介護職員の退職理由となったトップ3とそれに対する業界が今行っている方針」について記事を書きたいと思います。

 

 

 

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介護士の離職理由トップ3

介護職員の人材不足の原因を語る上では、まずは離職理由の実態を把握しておく必要があります。

国や業界は当然、この実態を把握しているのでしょうが、この事実を「悪いイメージの払拭」だけで片づけられたら何の意味もありません。

「悪いイメージの根本原因の解決」を先にしていって欲しいところです。

 

 

 

【出典】公益財団法人 介護労働安定センター

平成29年度介護労働実態調査結果について(pdf)

 

 

第1位「職場の人間関係に問題があった」

毎年、常に離職理由のトップ争いをしているのは「職場の人間関係」です。

介護業界だけに限らず、全ての業界で人間関係の問題はあるのでしょうが、同族経営の法人が多かったり、まだまだ女性社会である介護業界は他に類をみないような独特の人間関係があります。

事業所内には多職種が存在し、連携を取りながら利用者のケアや支援を行います。

そういう環境での業務になるので、各職種間での職業倫理の違いや、肩書きや職種の立場の優劣で職員同士のマウンティングが当たり前のように行われています。

介護職員は立場上、マウントを取られやすい職種であり業務内容になります。

そういった事業所内の独特の人間関係がイヤになって辞めていく人がとても多いのです。

 

第2位「結婚や妊娠や出産や育児のため」

結婚を機に退職するのは一般的に「寿退社」と言われており、めでたい退職理由とも言えます。

結婚や育児は男性でも出来ますが、「妊娠と出産」は女性にしか出来ません。

まだまだ女性社会の業界であるが故に、結婚や妊娠などを機に辞めていく女性職員が多いため、離職理由の第2位になっていると考えられます。

しかし現在では、「産休や育休」などという社会保障制度や福利厚生も充実してきています。

それらを「利用できにくい環境」があることと、それらを「利用してまで在職する価値がない職業」という判断をされている結果であるという推測ができます。

もうひとつの問題として、介護業界には「男性職員の寿退社が多い」という点もあげられます。

独身なら何とか生活できていた収入でも、結婚し家族を養っていくには明らかに足りないのです。

日々の生活は何とか凌げたとしても、将来の貯蓄や子供の養育費などのことを考えると、一家の大黒柱としての男性職員は「介護職員を辞める」という選択を迫られる、類まれなる業界なのです。

「男性介護士の寿退社」が相次ぐ類い稀なる介護業界

 

第3位「法人や事業所の理念や運営方針に不満」

「介護業界に石を投げればブラックに当たる」と揶揄されるくらい介護業界にはブラック事業所が多いと言えます。

その原因としては、介護業界が元々「奉仕の精神」「自己犠牲の仕事」「低賃金でもやりがいのある仕事」というものであったことに起因しています。

その理念や方針をそっくりそのまま組織や企業に当てはめると「完全なるブラック」になってしまうのです。

「サービス残業は当たり前」

「利用者からの暴言や暴力にも耐える仕事」

「誰でもできるボランティアの延長のような仕事」

というネガティブなイメージを発生させているのは、現にそういう事実があるからです。

現場全体を見渡して、「出来ることと出来ないこと」「理想と現実」を冷静に判断する職員よりも、「出来もしないような綺麗ごとを言って現場を混乱させる人」「サービス残業や自己犠牲こそが美徳だ」などと言う職員の方が評価が高く、そういう現状が人材不足の悪循環を招いているのです。

介護職員の人権や安全を確保し、健全な職場環境を整備しなければ事業所の理念や運営方針に不満を持って辞めていく人が減ることはないでしょう。

不幸な介護職員が利用者や他者を幸せにすることなどできないのは自然の摂理なのです。

 

 

 

介護士の離職理由ランキング外

 

介護職員の離職理由トップ3に入らなかったものをピックアップして考察してみたいと思います。

 

第5位「将来の見通しが立たないから」

これは「社会的地位」や「出世・昇格」、「収入」の問題と密接な関係があります。

つまり、「このまま介護職員として働いていても自分の将来像が描けない仕事」だということになります。

「今後いくら昇給していくら貯蓄できるのか」

「明確な出世コースや昇格できるキャリアパスが未整備」

「そもそもこのまま働いていても何も変わらないのでは?」

という暗雲が立ち込めているのが介護業界です。

結論から言ってしまえば何も変わりません。

雀の涙ほどの昇給がある程度でしょう。

そうなると、自分の将来像を描くために早い段階で転職したり違う働き方を模索していく必要がある業界なのです。

 

第6位「低賃金」

介護職員の象徴でもある「低賃金」が6位にランクダウンしました。

この背景には

「元々、低賃金だとわかった上で入職している」

「低賃金でも構わない人だけが残っている」

「処遇改善手当などで少しずつ賃金が改善してきている」

という理由があげられます。

それでもまだまだ月の手取りが10万円台だったり年収で360万円以下(夜勤手当含む)の介護職員が多く存在し、今は何とか生活できても将来性で言えば心許ない収入であることは間違いありません。

その副産物として、「低賃金でも構わない」という人だけが残る結果というおかしな状況になってきています。

そういう人の特徴として、良い意味でも悪い意味でも「特殊な人」だと言えます。

例えば

  • 他の業界では雇ってもらえない事情がある
  • 既に資産が沢山ある
  • 他の副収入がある
  • 自己犠牲の塊

のような人達です。

介護業界が求めている人材は暗にそういう特殊な人達だけをターゲットにしてしまっているために、人材確保が困難になっているのです。

 

その他「クレーマー家族の対応がイヤになった」

ランキング外の「その他」の中には、個々の様々な理由があるのでしょうが、介護現場でありがちなのが「クレーマー家族の対応に嫌気が差す」というものです。

家族の多くは普通の人ですが、中にはクレーマー体質の人が存在します。

そういうモンスター化した家族がたった1人いるだけでも現場は疲弊してしまうのです。

例えば

「毎日面会に来て、介護職員のケアのひとつひとつに注文をつける」

「施設に入れたら身体能力が低下したと苦情を入れる」

「自分の家族だけ特別扱いして欲しい」

「こっちはお金を払っているんだ」

というような権利者意識の高い家族がいます。

介護職員だって、少ない人員の中で精一杯ケアを行っているのです。

そう思って直接介護職員に言わず事務所や上司に苦情を言う家族もいますが、間接的に上司から注意され改善を求められるので結局は現場の介護職員にしわ寄せが来るのです。

権利者意識の高いモンスター家族が介護職員を退職に追い込んでいるケースも少なからずあるのです。

 

 

 

イメージの払拭だけでは意味が無い

 

冒頭にも書きましたが、介護職員の人材確保が困難となっている理由には、上記に書いた様々な「原因」があります。

まずは、その原因を解決していき、「それでも人材が集まらないなぁ、何故だろう」と検討していくのなら話はわかりますが、原因を解決もせず「人材が集まらないのは介護に悪いイメージが定着してしまっているからに違いない」と決めつけて、的外れなポジティブキャンペーンをしている姿は悲しさを通り越して滑稽にさえ映ります。

このようなニュース記事を目にしました。

 

介護職、人材確保へ躍起 イメージの悪さ払しょくへあの手この手

 

「介護についてみな関心はあるのに、自分の仕事として考えた時にあまりにイメージが悪すぎるんです」

2016年度の府内の介護職員は15.1万人。昨年11月の府の有効求人倍率は全産業で1.68倍だったのに対し、介護関連職種は実に5.17倍だ。最大の理由が「イメージの悪さ」だと言う。

公益財団法人「介護労働安定センター」の17年度介護労働実態調査によると、回答した全国の8782事業所のうち66.6%が人手不足を訴え、うち88.5%が採用難を理由に挙げた。月給を見ると、主に施設で働く介護職員は21万1464円。中小企業の若手社員と同等かやや良い位の水準だ。離職率は主に施設で働く介護職員(正規)で14.3%。国の雇用動向調査では一般労働者(正規など)の離職率は11.6%なので、やや高いと言える。

一方、働いている当事者はどう考えているのか。「今の職場で働き続けたい」との回答は56.9%で、前年より微増した。離職率の中身を見ると、4割の事業所が離職率10%未満で、離職率30%以上の事業所は全体の2割だった。賃金的に良くはないが、それなりに満足度が高い職場と言えそうだ。

 

【引用元】毎日新聞

 

この記事を読む限り、人材確保が進まない理由を「イメージの悪さ」と決めつけてしまっています。

要は「悪いイメージを持たれる部分は改善したにも関わらず、イメージが先行してしまって人材確保が困難だ」ということが言いたいのでしょうが、その内容を見ると違和感も多く感じます。

「勤務時間が安定」と書いてありますが、「それって正規職員として働く上で当たり前のことなのでは?」と感じてしまいます。

「主に施設で働く介護職員の月給は21万1464円で中小企業の若手社員と同等かやや良い位の水準」という点にも違和感を感じてしまいます。

その月給には他の業界にはない「夜勤手当が含まれている」のではないでしょうか。

夜勤をしなければ、月給の総支給額はぜいぜい16万円~18万円となり、その金額と他業界の給料を比較する必要があります。

そうすると「他業界より大幅に少ない賃金」であることが見えてきますが、ポジティブキャンペーンをする上で、そういう「内訳」とか「事実」に言及していく必要があるのではないのでしょうか。

もしかしたら「人間関係」が抜群に良い事業所をモデルケースとしている可能性もあるので全てを否定するわけではありませんが、介護職員の離職理由のトップを占めていた「職場の人間関係」と「法人や施設の理念や運営方針に不満」という点にも触れて欲しかったと思います。

この点に触れずに人材確保だとか悪いイメージの払拭ができるはずがありませんし、根本原因を解決もせず悪いイメージだけを払拭しようとするのは「整合性が図られていない」と感じます。

 

 

 

最後に

 

今回は「介護職員の退職理由と介護業界のポジティブキャンペーンは整合性が図られているのか」ということについて記事を書きました。

「人材不足の最大の原因は悪いイメージが定着してしまっているからだ」と考え、ネガティブ情報を封殺しポジティブキャンペーンを行っているのだとすれば整合性が図られていません。

良い部分も悪い部分もオープンにした上で、求職者に選択肢を与え、人材を確保してく姿こそが公明正大で紳士的な姿ではないでしょうか。

ネガティブイメージを封殺するだけでは人材不足の解消を真剣に考えているとは言えません。

まずは、人材不足となっている原因を明らかにし、その解決に向けて善処していく姿こそが「本当の意味でポジティブキャンペーン」だと言えます。

ポジティブキャンペーンを行っている業界の人達は、まずは一度、実際の現場に入り介護職員と同じ業務(もちろん対価も同じ)をしてみれば、実際の問題点や改善点がリアルに見えてくるのではないでしょうか。

最後に、極論を言ってしまえば「介護職員の最低月給35万円~(介護福祉士は40万円~)」という水準の賃金制度を明日から開始すれば、数か月のうちに人材不足は解消してしまうと思っています。

人材不足の解消どころか、募集が多すぎて「書類選考」をしたり、介護士過多な飽和状態になってしまうかもしれません。

しかしそれくらいの方が、資質のある専門職を育てたり入職させる環境としては最適ではないでしょうか。

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