これから無資格未経験で介護職員になろうと思っている人の中には、介護職や介護の仕事に対するハードルを感じる人もいらっしゃるかもしれません。
そりゃ誰でも自分が経験したことのない世界に飛び込もうと思った時には不安を感じるものです。
かくいう私も無資格未経験で介護業界に飛び込んだため、その気持ちは痛いほどわかります。
受け入れる側の介護事業所の多くは無資格未経験でも入職しやすいようにハードルを低く設定していますが、反対に「入職者側が感じるハードル」があるのも事実です。
要は、「受け入れ側のハードルの高さと入職者が感じるハードルの高さが合っていない」ということがあるのではないでしょうか。
今回は、無資格未経験から介護職になるためのハードルの高さは受け入れ側と入職者側で差がある実情について記事を書きたいと思います。
受け入れ側と入職者側との間にはハードルの高さに差がある実情
介護職になるためのハードルは低いのに、無資格未経験で介護業界に飛び込もうと思っている人が感じるハードルは高いということがあり得ます。
この両者の差の実情について解説していきたいと思います。
受け入れ側の介護事業所が設定しているハードル
まずは、受け入れ側の介護事業所が入職者に対して設定しているハードルですが、常に人員不足の事業所であれば多くの場合、「無資格未経験可」となっているため低く設定してあると言えます。
つまり、「誰でもOK」と言い換えることができます。
しかし、あまりにもハードルが低すぎると介護職の質という以前に職場内の風紀や人間の質が保たれなくなってしまうため、ある程度の基準を設定している事業所もあるかと思います。
例えば、
- 面接での態度が著しく悪い
- 明らかに嘘だとわかることを本当のことのように話す
- ネット上などで実名顔出しをしている悪い意味での有名人
などに該当する人は採用を見合わせた方が無難でしょう。
いくら人材不足だからと言って、上記のような人を雇い入れてしまうと火種を自ら招き入れることとなり、事業所や周りの職員の迷惑になったり困ってしまう可能性が出てきてしまいます。
まぁ、上記に該当するような人は滅多にいないでしょうから、「受け入れ側のハードルは低い」ということができます。
無資格未経験で介護業界に飛び込む人が感じるハードル
次に、無資格未経験で介護業界に飛び込もうと思っている人が感じるハードルですが、受け入れ側がウェルカム状態であってもやはり飛び込むのは勇気がいるために高く感じてしまうのではないでしょうか。
その理由としては、
- 右も左もわからない業界だから続けていけるのか不安
- 介護職の給料で生活を維持していけるのか不安
- 職場の人間関係が不安
などになろうかと思います。
要は、「不安要素が沢山あるためハードルが高いと感じる」のです。
ハードルを下げるためには、こういった不安要素を取り除いていく必要があります。
その方法として、インターネットなどを使って情報収集する人も多いのではないでしょうか。
事前情報は大切です。
自分が入職する予定の事業所に直接聞いてみてもいいでしょうが、なかなか聞きにくい内容ですし、「職場の人間関係はどうですか?」と聞いて「いや~ぶっちゃけ劣悪です」と答える事業所はまず無いでしょう。
以下で詳しくみていきたいと思います。
右も左もわからない業界だから続けていけるのか不安
介護業界に限らず、どの業界であっても未経験からスタートする場合は右も左もわからない状態です。
ですから、自分に向いているのか向いていないのかもわかりませんし、続けていけるか不安に思うのも当然でしょう。
ただ、受け入れる側がハードルを下げてくれているのですから、それに甘えて堂々と入職すれば多少なりとも不安は軽減するはずです。
もっと言えば、時間とお金が許すなら「介護職員初任者研修」を修了してから入職すれば介護の基礎が学べるため更に不安が軽減することでしょう。
しかし、仮にそうしたとしても一抹の不安と違和感が残る場合があります。
それは「ハードルが低く設定されているのに、何故介護業界は常に人材不足なんだろう」という不安と違和感です。
その問題に言及していくと、
「給料が安くて生活ができないから?」
「人間関係や職場環境が劣悪で出入りが激しいから?」
などという新たな不安が顔を出し、「自分は続けていけるのだろうか」という不安の堂々巡りが始まってしまいます。
給料や人間関係については後述しますが、「介護職に向いている人と続けられる人は全くの別である」ということは知っておく必要があります。
詳しくは下記記事をご参照下さい。
介護職の給料で生活を維持していけるのか不安
介護職の収入は低賃金で他の業界の平均よりも下回っているのも事実です。
ですから、介護業界に飛び込んだ場合に、介護職の給料で今の生活を維持していけるのか不安に思うのも当然でしょう。
最近では、徐々に処遇改善も進んでいて、中には全産業平均以上の給料を貰っている介護職も増えてきました。
しかし、それらの人は経験を積みスキルと技術を身につけたり、介護福祉士資格を取得してきた結果であるため、無資格未経験で飛び込んだ初心者の場合、ワーキングプアレベルの給料であることも多々あります。
つまり、「給料が低い場合は生活維持に不安があるためハードルの高さを感じる」ということになります。
給料の低さとハードルの高さは反比例するのです。
介護職はどちらかと言えば、実家暮らしの人や夫婦共働きが可能な人向きで、一人暮らしの場合はギリギリ生活維持が可能か不可能かの瀬戸際に立たされる可能性があるため「ハードルの高さ」を感じます。
介護職の給料で一人暮らしをした場合の生活維持については、下記記事にまとめていますのでチェックしてみて下さい。
職場の人間関係が不安
どの業界に飛び込む場合でも人間関係は気になるところですが、介護業界は特に退職理由の上位に人間関係があり、よくない噂も耳にしたりします。
「いじめられたりしないだろうか」
「ちゃんと仕事を教えてもらえるだろうか」
という不安があるとハードルの高さを感じてしまいます。
さすがに事業所個々の人間関係まではインターネット上ではわかりませんし、現に働いている職員から直接話を聞ける機会もそうそう無いでしょう。
ですから、こればっかりは「入職してみないとわからない」のですが、目安として
- 1年中求人募集をしている事業所には何か問題がある
- 本当に劣悪な事業所は地域内で悪評が立っている
という可能性がありますのでアンテナを張ってみるのもひとつの手段です。
職場の人間関係に不安を感じることでハードルも高く感じてしまう原因になります。
新人いじめについては下記記事で詳しく解説していますので興味がある人はチェックしてみて下さい。
両者のハードルの高さの差は温度差
受け入れる側の介護事業所と無資格未経験で介護業界に飛び込もうと思っている人との間には、ハードルの高さに差があることを解説してきました。
この両者の差は温度差であるため温度差を解消していかないと人材確保が難しいのですが、介護業界曰く「人材確保を困難にさせているのはネガティブイメージのせいだ」ということになっています。
つまり、入職側が抱える不安はネガティブイメージを刷り込まれているだけなので刷新していかなければならないという方針です。
しかし、本当にイメージだけの問題なのかは疑問が残るところです。
では「何故、退職者が後を絶たないのか」という原因に目を向けていくと、「ネガティブイメージはイメージだけではなく事実である部分が大きい」と言えるのではないでしょうか。
つまり、表面上のイメージだけを刷新しようとしてもくすぶっている火種を消さないといくらでも煙が立つのです。
無資格未経験で介護業界に飛び込もうと思っている人の不安を払拭するためには、まずは介護事業所や介護現場から変えていく必要があります。
介護現場の火種が消えれば自然と煙も立たなくなり、両者のハードルの高さも整合性が保たれるようになるのではないでしょうか。
最後に
今回は、無資格未経験から介護職になるためのハードルの高さは受け入れ側と入職者側で差がある実情について記事を書きました。
受け入れ側がいくらハードルを下げても、根本的な問題が解決できていなければ入職者側にとってはハードルの高さを感じてしまいます。
また、受け入れ側がハードルを下げれば下げるほど、質の低い人を招き入れてしまう悪循環に陥ってしまうことになり本末転倒です。
まずは、両者のハードルの高さに整合性を図ることが重要です。