介護現場の多くは人員不足であるため、新たな人材を確保していくことと並行して「今いる人材を大切にしていく」ということが非常に大切です。
「テクノロジーを活用して介護人材をより少ない人数でサービスの質を保てるよう更なる人員緩和の実現を目指す」という明後日の方向を向いた議論が政府の全世代型社会保障検討会議で行われているようですが、今回はこの件については割愛します(参考報道:介護サービスをより少ない人数で テクノロジ活用で実現目指す 政府【介護のニュースサイトJOINT】)
話を戻しますが、今いる人材を大切にしていくためには、新人介護職員であれ中堅介護職員であれベテラン介護職員であれ、それぞれの適性や能力や習得度を見極めながら「育てていく」ということをしなければなりません。
無資格未経験で入職した新人であれば、右も左もわからない状態でしょうから知識や技術が未熟であってもすぐに「ダメな職員」「使えない職員」などと言うのではなく、長い目で見て先輩や上司が育成していくような職場環境や体制(カリキュラム)でなければなりません。
そういう「新人介護職員を大切にする」「使い捨てではなく育成していく」という環境がなければ人員確保は叶いませんし、そもそも「自分達で排除しておきながら人員不足を嘆く」という矛盾に満ちた摩訶不思議な状態になってしまいます(既にそうなってしまっている介護事業所もあるのではないでしょうか)。
ですから、大前提として「新人介護職員を大切にしよう」という考え方が重要ではあるのですが、かと言って「新人だから何でも許されてしまう」という状況も不健全であると思っています。
何事でも極端に偏ってしまうことは良くなくて、「丁度良くしていく」ということが大切です。
ですから、時として新人介護職員でも注意が必要な場合があります。
「注意」というのは「こちらが十分に気をつけていく必要がある」という意味ですが、もっと言えば「どんなに適切に接しても手に負えない存在」ということになります。
今回は、こんな新人介護職員には注意が必要ということについてモンスター新人の3つの特徴と5つのリスクをご紹介していきたいと思います。
こんな介護職員には注意が必要!モンスター新人の3つの特徴
冒頭でも申し上げた通り、「新人だから何でもかんでも許されてしまうことは問題」です。
もちろん、「新人介護職員を大切にして育てていく」ということは大切ですが、世の中には「モンスター新人」もいるのです。
「モンスター新人であっても広い心を持って育成すべきだ」「育成できないのは指導力が欠如しているからだ」と言う人もいらっしゃるかもしれませんが、介護職員や上司や経営者はモンスター使いではないのですからそう言えてしまう人は「少々権利者意識が強すぎる」と言えます。
モンスター新人の3つの特徴をご紹介していきたいと思います。
特徴①:とにかく滅茶苦茶
新人介護職員の中には「あれ、この人大丈夫?」と思うような人もいます。
世間の常識や普通に考えればわかることがわかっていなかったり、やること成すこと滅茶苦茶な人です。
例えば、
- 利用者の靴を履かせる時に転倒させる
- ドライヤーの使い方がわからない
- 女性利用者の顔をいきなり髭剃りで剃り始める
- 注意したら逆ギレする
【引用元】当ブログのコメントより
などをする新人であれば「待て待て待て…」と思ってしまいます。
いやしかし、百歩譲って「わからない業務が多すぎて緊張したり混乱しているのかな」という受け取り方や配慮もしていかなければなりませんが、さすがにいつまで経っても滅茶苦茶であれば注意が必要です。
そもそも、そんな状態で業務を続けてもらうと利用者に迷惑が掛かったり被害が出てしまう可能性があります。
滅茶苦茶な新人については下記記事にまとめていますのでチェックしてみて下さい。
特徴②:無礼千万
新人介護職員の中には「無礼千万な人」も存在します。
例えば、
- 素行が悪く敬語が使えず常にタメ口
- いつも反抗的な態度で自分の権利ばかりを主張する逆パワハラ
- 常に自分が正しいと思い込み学習意欲と能力がない
などに該当する場合は周りの職員や上司も困ってしまいます。
百歩譲って、そういう新人であっても「適材適所で」「お互いの妥協点を探りながら」という対応や育成をしていくことも必要なのかもしれませんが、学習意欲も能力もないのですから徒労に終わる可能性が高くなります。
そもそも、そんな無礼千万な職員を一人立ちさせるのは怖くてできませんし、かと言っていつまでも一人立ちできなければコストも掛かります。
また、攻撃的なモンスター新人の存在によって利用者や周りの職員とのトラブルも尽きず風紀が乱れ職場の雰囲気も悪くなるというデメリットの方が大きくなるでしょう。
特徴③:遅刻や欠勤が絶えない
介護はチームプレイですし介護施設であればシフト制で引き継ぎながら業務を行っているので「遅刻や欠勤が絶えない新人介護職員」がいると同僚も上司も困っていまいます。
もちろん、遅刻や欠勤に正当な理由がある場合や家庭の事情などで事前に会社がその旨を了承している場合は仕方が無いことですが、そうでない場合は注意が必要です。
例えば、
- 明らかな仮病
- 明らかな嘘
などで遅刻や欠勤を頻繁にする新人がいた場合、会社や同僚にしてみれば「1人の人員として見做すことができない」「同僚が残業をして仮病や嘘のフォローをしなければならない」という状況になってしまいます。
但し、百歩譲って「明らかに仮病や嘘」だと思っていても実際は本当だったり特段の事情がある場合もありますので、冷静に動向を見極める必要があります。
事業所として「診断書の提出」や「証明書の提出」をお願いすると、何故か急にバックレるように退職してしまうのが特徴的です。
モンスター新人を雇い続けることで発生する5つのリスク
いくら新人介護職員を大切にしなければならないからと言って、モンスター新人を雇い続けることでリスクの発生確率が高くなってしまう可能性があるため、慎重に判断していく必要があります。
モンスター新人を雇い続けることで発生する5つのリスクについて解説していきたいと思います。
リスク①:利用者に迷惑が掛かる
モンスター新人を雇い続けることで、最終的に迷惑が掛かるのが利用者です。
例えば、
- 不適切な対応をされる
- そもそも対応をされない
- ひいては虐待に繋がる
などのリスクがあります。
リスク②:業務効率が悪くなる
いちいち文句を言ったり、反抗的な態度を取ったり、遅刻や欠勤ばかりのモンスター新人を雇い続けることで業務効率が悪くなります。
例えば、
- 同僚や上司の負担が大きくなる
- 同僚や上司が疲弊する
- 介護現場の質やモチベーションが下がる
などのリスクが発生します。
リスク③:風紀が乱れる
モンスター新人の存在で業務効率が悪くなるばかりか、人間関係も悪くなっていき職場内の風紀が乱れることになります。
例えば、
- 同僚や上司に負担が掛かることでストレスが溜まる
- ストレスが溜まった状態で働き続けることで人間関係が悪くなる
- 粗暴な態度や不適切なケアをする新人がいることで職場全体の雰囲気が悪くなる
などのリスクが発生します。
要は、モンスター新人の存在そのものが職場の風紀を乱す根源でありストレスの権化なのです。
リスク④:退職者が続出する
モンスター新人の存在により業務効率が落ち風紀が乱れ人間関係が悪くなることで、退職者が続出するリスクが発生します。
例えば、周りの職員に
「やってられない」
「自分ばかりしんどい思いをしている」
「あんな奴と一緒に働きたくない」
などという負の感情が芽生えてしまうことで退職希望者が出てくる可能性があります。
また、パワーバランスによって、
「自分が潰れてしまったり辞めるくらいならこの新人をどうにかして辞めさせよう」
というネガティブな意識も働きかねません。
傍から見ると「新人いじめ」「新人介護職員の排除」のような状態になってしまい、風紀が乱れるとともに最終的にモンスター新人が退職していくという流れになることもあります。
人材確保をするために新人を雇い入れたのに、その新人によって風紀が乱れたり退職者が続出することになれば本末転倒であると言えます。
リスク⑤:訴訟リスク
自分は信義誠実の原則を反故にしておきながら自分の権利や言い分だけを主張するモンスター新人を雇い続けることで訴訟リスクも発生しかねません。
「常に自分が正しい」と思っているために、思わぬ行動に出ることも考えられます。
もちろん、しっかりと正当な理由や新人育成のためにありとあらゆる手段を講じてきたという証拠があれば訴訟になっても会社側に理がありますが、要らぬ手間と時間とお金が掛かってしまうデメリットもあります。
モンスター新人を雇い続けることで、最悪の場合「やけのやんぱちになり最後の最後まで迷惑を掛けてくる」というリスクがあります。
最後に
今回は、こんな新人介護職員には注意が必要ということについてモンスター新人の3つの特徴と5つのリスクについて記事を書きました。
もちろん、「新人は大切に育成していくこと」が大前提ではありますが、
- とにかく無茶苦茶
- 無礼千万
- 遅刻や欠勤が絶えない
という特徴があれば注意が必要です。
何故なら、そういったモンスター新人を雇い続けることで、
- 利用者に迷惑が掛かる
- 業務効率が悪くなる
- 風紀が乱れる
- 退職者が続出する
- 訴訟リスクがある
といったリスクが発生する確率が高くなるからです。
採用面接の際に判断可能であればふるいにかけていくことも必要でしょうが、なかなか面接でそこまで見抜くことが難しいのも事実です。
適切適正な評価基準を設けるなどして、新人だけにかかわらず「今いる職員を大切にしていく体制」「頑張っている職員を評価する体制」を整えていくことが必要ではないでしょうか。
私自身も当初は無資格未経験で右も左もわからない状態で介護業界に飛び込んだ口ですので、「新人介護職員を大切にしていく」「今できなくても長い目で見ていく」「一方的なマウンティングやハラスメントやいじめの撲滅」の必要性を感じていますが、そこに付け込むような新人介護職員には注意が必要であるとも感じている次第です。
コメント
今って、まともな新人って、まず来ないですよね。
そんなまともな人は、もうすでに他で働いてるし、少なくとも介護には回ってこない気がします。
介護って、ただでさえいろんな種類の仕事があるし、しかも命にかかわるような重要な仕事、専門技術がないとできない難しい仕事がたくさんある。
どう考えても何らかの障害があるとしか思えない人に、そんな仕事ができるんでしょうかね。
「それはちゃんと教育しないと」とか言うけど、教育しても修正できないのが障害の特性なわけでしょ?
私は、使徒レベルのおかしな新人が来た場合は、とりあえず放置していますね。
で、サボってたり、いなくなったりするんだけど、そしたらソッコーで管理者に告げ口。注意するのは管理者の責任だしね。(笑)
使徒が、勝手におかしなことやって事故や事件になっても、その責任を取るのは本人と会社だし。
それを「あの新人がやって事故になったらいけないから」と重度の対応を代わってしたりするから、とりあえず表面的には問題化せず、おかしなスタッフはサボったままいて、普通のスタッフの負担だけ増えるんですよね。
そこはちゃんとおかしなスタッフにやらせなきゃ。
で、その結果、事件事故になって、大きな補償が必要となったら、会社も「おかしなスタッフを入れたら、大きな損害が出るから、気軽に入れちゃダメなんだね」と認識すると思う。
そう、教育すべきは、おかしなスタッフではなく、おかしなスタッフを平気で気軽に現場に投入する法人なんですよね。
>デイちゃんさん
こんばんは~
コメントありがとうございます^^
そうですね、最終的な責任はモンスターを黙認や放置してそのままにしてしまう法人にありますよね。
まぁ人員配置基準の関係でそうならざるを得ない部分もあるのでしょうが、いつまで経っても悪循環が断ち切れませんね。