介護の仕事自体は尊い職業だと言われています。
私自身も「介護職員がもっと増えてくれれば大変嬉しい」と思っています。
介護職員がもっと増えれば人員不足も解消しますし、業務負担も軽くなり益々働きやすくなります。
単純に「仲間が増えることは嬉しいこと」という気持ちもあります。
しかし、手放しでオススメはできない気持ちがあるのも事実です。
「介護職員が増えて欲しいけどオススメしない」という一見矛盾した考え方になるのですが、要は「若者のためを思うとオススメできる仕事ではない」ということなのです。
このような記事を書いてしまうと、介護業界の人達にお叱りを受けてしまうかもしれませんが、今回は「若者に介護の仕事をオススメしない理由」について記事を書きたいと思います。
介護職員をオススメしない3つの理由
何故、介護の仕事はオススメできないのかを以下で詳しく解説していきたいと思います。
理由①「職場環境が劣悪」
職場環境と一口に言っても「仕事内容」「業務負担」「人間関係」など様々ですが、基本的にどれを取っても劣悪です。
仕事内容
仕事内容は3K(きつい、危険、汚い)の代表格のような仕事です。
他にも「臭い」「給料が安い」「休憩が取れない」「休暇が取れない」「腰が痛い」「帰れない」などの「K」が当てはまります。
他人を支援する仕事なので「尊い」などと言われることがありますが、尊さと引き換えに失うものも多いのが現実です。
業務負担
介護現場はいつも人員不足なので職員一人当たりの業務負担が大変大きくなっいます。
残業は当たり前で、その上職員一人が1.5人分以上の業務をしなければなりません。
例えば、通常三人の職員が必要なのに二人で業務を行っている、というような日常です。
また、夜勤は16時間勤務となりワンオペ(職員一人体制)になります。
その肉体的、精神的負担ははかり知れません。
人間関係
まだまだ女性社会の介護業界は人間関係も劣悪です。
「挨拶をしない」「無視をする」というような感情のせめぎ合いのような「いじめや嫌がらせ」が普通にあります。
また介護職員は介護業界に存在する職種の中で最底辺に位置しています。
それ故に揚げ足を取られたり吊し上げられることが多い職種になります。
介護職員同士でも、年代や性別や気が合う合わないなどで「村八分」にされたり、ギスギスした人間関係があります。
理由②「賃金が安い」
どの業界であっても、初任給は安いものですが、「半永久的に安い」のが介護業界の特徴です。
多少の昇給はありますが、定年まで勤めあげても手取り30万円になることはまずありません。
国家資格である「介護福祉士」を取得しても、です。
唯一の方法は、夜勤を月に10回程度こなし、残業を月に30時間くらいすれば手取り30万円になるかもしれませんが現実的ではありません。
身も心もボロボロになってしまうでしょう。
理由③「将来性がない」
半永久的に賃金が安いことも関係してきますが、介護職員には将来性がありません。
50歳になっても60歳になっても現場で汗水垂らして働き続けることになります。
主任くらいには昇格できるかもしれませんが、それ以上は見込めないでしょう。
課長や管理者や施設長クラスまで出世できたとしたら奇跡かよほど運が良かったと言えます。
仮にそのクラスまで出世できても、手取り30万円にいくかは微妙な所です。
なんとも夢も希望も将来性もない業界でしょうか。
介護の仕事はセーフティーネット?
現状では未来ある若者が、いの一番に飛び込んで来るような業界ではありません。
よほどの信念を持ち、自分の将来設計が確立している場合は別ですが、そうでなければオススメできない業界です。
一方、「もうどこも雇ってくれる会社がない」「どこでもいいから働きたい」というような切羽詰まった人には足を踏み入れやすい業界です。
50歳、60歳の新人でも喜んで受け入れてくれるでしょう。
それだけ人材不足なのです。
そういう状況であるため、介護の仕事は「求職者の最後のセーフティーネット」という位置付けではないでしょうか。
最後に
今回は、若者が介護職員になることをオススメできない理由を書きました。
「自分の仕事に誇りを持て」
「自分の仕事をけなしてどうするんだ」
というお叱りを受けてしまいそうですが、私は誇りを持っていないわけでも、けなしているわけでもありません。
ただ「介護職員の現実」をそのまま書いているだけなのです。
今後もっと若者が競いあって応募してくるような業界にするためにも、まずは現実を見つめる必要があります。
ですから、現場職員や業界は「誇りを持って毒を絞り出す作業」をしていくことが先決なのです。