介護業界に限らずですが、人によって(相手の肩書きやステータスによって)態度や意見を変える人っていますよね。
違う内容や意見ならまだしも、同じ内容の主訴であるのにAさんに対しては冷たくあしらったり激しく反論をするのに、Bさんに対しては迎合したりヘコヘコしながらゴマを擦るという二枚舌(ダブルスタンダード)には閉口してしまいます。
いやしかし、百歩譲って人間である以上、本能的にそういういやらしい部分が私も含め誰しもあるのかもしれません。
とは言え、あまりにもあからさまだったり、目に見えて権威やステータスに媚びている場合は嫌悪感さえ感じてしまいます。
介護業界で言えば、例えば、
- 上司にはヘコヘコして同僚や後輩には偉そうにする職員
- 医師にはヘコヘコして介護職員には偉そうにする経営者
- 周りにイエスマンばかりを置いて反対意見を持つ職員を排除しようとする上司
などが存在します。
更には、その舌の根も乾かぬうちに「これこそが正義であり次世代の介護だ」などと言われた日には、嫌悪感を通り越して呆れかえってしまいます。
今回は、介護業界に存在する「人によって態度を変える二枚舌の人」の特徴について記事を書きたいと思います。
介護業界に存在する「人によって態度を変える二枚舌の人」の4つの特徴
人によって態度を変える人は介護業界でなくても存在していますので、介護業界以外にも共通するものもありますが、私個人が介護業界や介護現場で見聞きしてきた経験上の内容をまとめていきたいと思います。
特徴①:「人それぞれの価値観」「多様性」「常識は人それぞれ」「既成概念をぶっ潰す」を多用
介護業界に存在する二枚舌な人達は、
- 人それぞれの価値観
- 多様性
- 常識は人それぞれ
- 既成概念をぶっ潰す
というワードを多用している印象です。
どれもこれも「それはそうなんだけど、それを言っちゃ~おしまいよ」の世界です。
人によってヘコヘコ迎合しておきながら、反対意見に対しては「人それぞれの価値観」などという元も子もないことを言ってぶった切るのが特徴です。
もちろん、そう言わざるを得ない場面は人生において何度かあるかもしれませんが、そういう返答を多用しなければならない状態は「自分に何か問題があるのかもしれないな」「他の意見も一理あるのかもしれないな」と考えるのが「多様性」ではないでしょうか。
また、「常識」とは健全な一般人が共通して持っている、また、持っているべき思慮分別のことですから、そこから外れてしまっているものを「不健全な非常識」と言うのです。
ですから、「常識は人それぞれ」と言ってしまっている時点で「非常識である」ということは認識しておく必要があります(価値観の定義と常識の定義を混同してしまっている)。
もっと言えば、「非常識を認めることを視野が広いとは言わない」ということは常識があれば理解ができるはずです。
「既成概念をぶっ潰す」というワードを多用する人は非常にアクが強い印象です。
本当に行動する人は、言葉にしなくても実行に移し成果を出します(不言実行)。
アクの強い言葉を発して実行する(有言実行)、又は、実行しない(有言不実行)という人は凡人なので、存在そのものが既成概念と言えるのかもしれません。
特徴②:肩書きコンプレックス
日本人は肩書きに弱い人種だと言われています。
ですから、
- 経営者(社長、理事長)
- 施設長(管理者)
- 医師
- 弁護士
- 議員
などの権威性やステータスがある人に対しては態度を変えがちです。
百歩譲ってそういうことがあるにしても、それらのお偉いさん方と同じことを介護職員が言っていたのに、それは無下に扱い、お偉いさんに言われるとヘイコラしてしまうのだとすれば、完全に肩書きコンプレックスに陥っています。
つまり、「内容はどうでも良くて他人様の肩書きしか見ていない」のです。
その根底には、「職業の貴賤」「差別主義」という既成概念がどっぷりと根付いています。
そういう事実やそういう既成概念を持ち続けている人がまだまだ存在しているのも確かではありますが、そういう人に限って「既成概念をぶっ壊す」などと言っているため、「この矛盾を受け止めることが多様性なのか」とこちらが戸惑ってしまいます。
特徴③:強い自己顕示欲
何故、ダブルスタンダードになってしまうかと言えば、「意見が分かれるようなことを言うから」です。
要は、「自己顕示欲が強い」のです。
そういう人は、職場内やTwitterなどのSNS上やネットで自分を誇示したり自己陶酔をして炎上するようなことを言ってしまうのが特徴です。
リアル社会であれ、ネット上であれ、言葉を発する以上は考えをまとめてから言うのは当然ですが、何も考えず自分の性癖を暴露したり(職場であればパワハラに該当します)、若しくは、炎上することを目的とするような内容の言葉を発してしまうと、賛同する人もいる一方で反対意見を持つ人、ショックを受ける人、不快に思う人などが出てくることになります。
これらをひっくるめて、「賛同する人」と「アンチテーゼ及び誹謗中傷」という2種類のカテゴライズをしてしまうことで「人によって態度を変える二枚舌」になる上に、アンチと呼ばれる人の中に医師や弁護士などの権威性のある人がいた場合は、急に踵(きびす)を返し迎合し始めるというトリプルスタンダードになるのが特徴です。
「アンチや誹謗中傷」と「反対意見や注意喚起」を一緒くたにしてしまい、また、言っている人のステータスで態度を変えてしまうのは多様性や多角的な視点とは言えません。
日本国憲法第21条において表現の自由が保障されていますから「賛否両論が分かれる発言をしてはいけない」ということはありませんが、その表現の自由や幸福追求権も絶対的無制限ではなく「公共の福祉」による制約や制限を受ける(日本国憲法第13条)ということは知っておく必要があります。
第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
【引用元】日本国憲法
「公共の福祉」とは、他の誰かの権利や人権などを指します。
炎上ばかりする場合は、その情報発信者や内容が、
- 公共の福祉に反している可能性があるのではないか
- 世間の常識とかけ離れているのではないか
- わざと炎上させようとしているのではないか
ということには真剣に目を向けていく必要があります。
賛同者とアンチとの間で代理戦争のような様相を呈したりもしますが、元を正せば「炎上するような内容を発信した人が発端」です。
もっと言えば、介護業界に限らずですが「炎上した内容でマトモな内容は見たことがない」というのが個人的な所感です(あれば教えて下さい)。
ただ、「マトモかマトモではないかは人それぞれの価値観」という話になってしまうと堂々巡りになったり、一方的に話をぶった切られてしまうことになります。
もちろん、そういった情報発信に対して誹謗中傷や名誉棄損をするような言葉を投げつけてしまうことも良くないのですが、名誉棄損には違法性阻却事由(犯罪や法律違反にならない条件)があります(刑法第230条の2)。
それが、
- 公共性(広く社会一般に影響がある内容であったり関心が高い性質の事柄)
- 公益性(不特定多数や広く社会一般の利益を増進させる性質の事柄)
- 真実又は真実相当性(内容が真実又は真実ではないにしても真実だと思ってしまうに値するような根拠がある性質の事柄)
の3つです。
上記三拍子を満たしていれば違法性が阻却され名誉棄損罪は成立しません(民事の場合でも判例理論によって違法性阻却の抗弁が認められています)。
(公共の利害に関する場合の特例)
第二百三十条の二
前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
2 前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。
3 前条第一項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
【引用元】刑法
己の自己顕示欲のために公共の福祉に反したり、人によって態度を変えるような二枚舌になってしまわないよう健全な一般常識で判断していきたいですね。
特徴④:後出しじゃんけん
人によって態度を変える二枚舌の人は、後から色々な新情報や新事実を言ってくる印象です。
それは、
- 人によって態度を変える理由
- 自分が正しいと言える根拠
- 実はこうでした的な言い訳
などになります。
しかし、その姿は「自分を取り繕うための詭弁」であったり、「相手がミスリードしたように仕向けるためのハリボテのツギハギ対応」にしか見えず、余計に見苦しさを感じてしまいます。
例えば、当初は自分が実行したかのようなことを言っておきながら、批判が集まると「実際はそんなことをしていないけどそういう考え方もありかなぁ、ということでした!」などと急に新情報を付け足し開き直る姿は正に「後付けで自分を正当化しようとする後出しじゃんけん」です。
他にも、「介護職員は多角的な視点が一番大切なのだから研修で介護保険制度の知識を教えられてもねぇ…」などと言っておきながら、「多角的な視点で言うなら制度の知識も必要でしょ」と言われると「でも、知識が最優先ではないですよね」などと論点をすり替えて斜め上のトンチンカンな後出し謎理論(誰も知識が最優先とは言っていないのに、新たな論点を被せたりすり替えてうやむやにしてしまう)の返答をしてしまうのも、軸のぶれた二枚舌の後出しじゃんけんと言えます。
過去に「後出しじゃんけんは詐欺師の始まり」という記事を書きましたが、あながち間違っていないのではないでしょうか。
最後に
今回は、介護業界に存在する「人によって態度を変える二枚舌の人」の特徴について記事を書きました。
介護現場であれば、ダブルスタンダードやトリプルスタンダードの人がいれば「えこひいき」や「人間関係の混沌や混乱」や「不公平感」などが生じる原因にもなりかねません。
もしそんな人が経営者であれば絶望しかありませんよね。
人間ですから多少は二枚舌を使うことがあるにしても、
- 「人それぞれの価値観」「多様性」「常識は人それぞれ」「既成概念をぶっ潰す」を多用する人
- 肩書きコンプレックスの人
- 自己顕示欲の強い人
- 後出しじゃんけんをする人
には注意が必要です。