私は介護の仕事をする前に営業の仕事も経験しています。
営業職もなかなか過酷でした。
つまり、「どんな仕事でも大変」というのは間違っていないと思います。
私はブログ記事で度々「思います」という言い回しを使っていますが、これは敢えてある程度の判断の幅を持たせているからです。
「自分はそう思う」「でも他の人は違う考えかもしれない」「確定ではない」という幅です(ブログ的には言い切った方が説得力が増すので「思います」などは使わない方がいいそうです)。
そのことが、この記事と何の関係があるのかと言うと「営業職ではまず「思います」という言葉は使わない(使ってはいけない)」ということが言いたいのです。
どういうことかは、後ほど書いていきたいと「思います」。
ということで今回は、営業職と介護職を比較してその違いを解説していきます。
営業職と介護職を比較してその違いを解説
では早速、営業職と介護職を比較してその違いを解説していきます。
あくまで私の経験上の話になるので、「それはちょっと違う」と思われることがあるかもしれませんが、その辺はご容赦下さい。
比較①「仕事着や制服」
まずは「仕事着や制服」の違いを見ていきたいと思います。
営業職
営業職の時の仕事着はスーツでした。
会社から支給されることはありませんので、上から下まで(スーツ上下・ワイシャツ・ネクタイ・革靴等々)全て自前です。
毎日着るのですぐに生地が擦り切れて傷んだり綻んだりします。
今まで20着以上のスーツを着潰してきました。
安物のスーツでも1万円前後はしますので、最低でも20万円以上は使ったことになります。
介護職
介護職の仕事着(制服)はポロシャツやジャージです。
会社から上下複数枚支給されています。
さすがに靴は支給されませんので自前です。
毎日着るのですぐに生地が擦り切れたり傷んだり綻んだり消毒用のハイター液が跳ねて水玉模様になってしまったりします。
そういった場合は、会社に言えば時間が多少掛かるものの新しい制服と交換もしてくれます。
そういう意味では、営業職の時と比べると介護職の方が仕事着に(自腹の)お金は掛かっていません。
比較②「ノルマ」
次に、「ノルマ」について違いを見ていきます。
営業職
営業職に付き物なのがノルマです。
つまり、「数字や数値で可視化された各営業マンへの割り当て」があるのです。
ノルマを達成し続けなければ営業の仕事をやり続けることが難しくなっていきますし、毎月毎月数字に追いかけられることが大きなストレスになります。
介護職がチームプレイなのに対して営業職は個人プレイの仕事だと言えます。
介護職
介護職にはノルマがありません(介護事業所なのに物を売るノルマがあるとかないとかの事業所の話は聞いたことがありますが)。
この点で言えば介護職の方が気楽なように感じますが、営業職のノルマは「数値で可視化された割り当て」であるのに対して、介護職は「数値で見えない圧力」という名のノルマを感じます。
つまり、営業職の場合は、「自分のノルマが達成できればほっと息をつける」のに対して、介護職の業務は数値として目に見えないが故に、「いつまでやってもいつまで経ってもキリがない」のです。
チームケアで介護を行っているため、自分の仕事が終わっても「利用者の状態が落ち着くまでフォローする」「人員不足のために残業が必要」ということが往々にしてあります。
営業職のノルマは「会社の利益のため、自分の営業成績のため」であるのに対し、介護職は「会社の人員不足をフォローするため、同僚や利用者のため」であり、そこには「自分のため」というものは殆どなく言いかえれば自己犠牲です。
介護職には、目には見えなくて数値では表されないノルマのようなものがあるのが特徴です。
比較③「発言内容や人間関係」
次に、「発言内容や人間関係」の違いを見ていきます。
営業職
営業職には、「ノルマの更にその上に達成目標」を掲げられます。
ノルマは達成して当たり前で、更にその上に「明らかに達成不可能なんじゃないか」と思われる遥か高い数値目標があるのです。
その数値目標を見て「うへ~ちょっと無理です…」などと言おうものなら「やる気がない!」「やる前から無理とか言うな!」などと言われ、やぶ蛇になってしまうことがあります。
ですから「頑張ります」「やるだけやってみます」「達成しようと思います」「できると思います」と言うのですが、それでも許されません。
冒頭で少し触れましたが、営業職の世界では「思います」は通用しないのです。
営業マンに掲げられた達成不可能と思われる高い数値目標に対しての発言内容としては「必ず達成できるものとして意志を表明し実行していく」ということになります。
つまり、内心無理だと思っても「必ずやりきります!」「必ず達成します!」「やりきってみせます!」「できます!」と言うのが正しい発言と意志表示になります。
しかし、わざと無理めで達成不可能であろう数値目標を与えられているので達成できないことの方が多いのです。
数値目標が達成できなかったら怒られるのではなく、その過程における姿勢や、数値の結果(無理な数値目標にどれだけ近づけられたか)が評価されるのです。
営業職の人間関係は介護職に比べてサバサバしているように感じますが、実は裏で「自分のノルマや数値目標を達成するために営業マン同士での足の引っ張り合い」があったりします。
これは「自分が生き残るためのサバイバル術」です。
体育会系気質が強いと言えます。
介護職
反面、介護職の発言内容や人間関係はどうでしょうか。
「暴力行為のある利用者に寄り添う介護をすれば改善するはずだ」
「リスクをゼロにすることがプロの介護職としての努めだ」
「人員不足なんだから残業するのが当たり前だろう」
などと言われ数値の無いノルマを言い渡されます。
営業マンのように「やります」「やりきります」と言った所で、ハラスメントの被害に遭ってしまったり、事故が発生してしまったり、自分にとって無価値な残業を強いられたりしてしまいます。
そうすると「対応や寄り添い方が悪かったんじゃないか」「他の方法があったんじゃないか」「事故を発生させた犯人は誰だ」などと犯人捜しや揚げ足取り、吊るし上げ、嫌味がネチネチと始まります。
こんな状況では、ノルマや数値目標が無い介護職の方が気楽とは言い切れません。
何故なら、介護職の場合はただただ「人員不足や杜撰な運営や管理の問題」でしかないからです。
それは現場職員の責任ではありません。
上司や事業所や業界全体の問題なのです。
介護職の人間関係はネチネチしている印象で、「ストレスのはけ口」「自分の優位性を誇示するためのマウンティング」という性質が強いように感じています。
「自分が生き残るためのサバイバル術」という点では営業職と共通しているのかもしれませんが、ベクトルが違うような気もします。
比較④「給料や収入」
では次に、「給料や収入」の違いを見ていきたいと思います。
営業職
営業職の場合、ノルマが達成できたり数値目標に近づくことが出来れば、それ相応の給料やボーナスが貰えます。
営業成績によって「S、A+、A、A-、B+、B、B-、…」というようなランク付けをされて、評価が高いほど多くの収入を得ることができる反面、評価が悪いと寸志程度しかボーナスが出なかったりします。
数値でハッキリと明暗が分かれるのです。
介護職
介護職の場合は、成績もありませんし評価もありません。
最近は評価制度を採り入れている事業所もあるようですが、最高評価を得たからと言ってボーナスが100万円貰えるということはまずないでしょう。
狭い範囲と低い水準の中で低空飛行を続けています。
良く言えば「低い水準ながら安定している」ということになります。
比較⑤「将来性」
次に、「将来性」の違いを見ていきます。
営業職
営業職の場合、「会社の規模や方針」「扱う商品やサービス」「営業形態や営業成績」によって将来性は大きく変わってきます。
多くの場合は定年まで営業を続けるわけですから、自分が60歳を超えた時の姿を想像した時に「どう感じるか」ということが将来性の判断基準になるかと思います。
介護職
介護職の場合も、多くは定年まで介護職です。
介護の仕事は「会社の方針や風土や福利厚生」などで大きく変わってきますが、そもそも国が主導している業界ですから今後の社会情勢や社会保障・介護保険制度がどうなっていくかに委ねられています。
「将来性がある」「将来性がない」という正反対の両極端な意見や予想が入り混じっています。
現状で「実情に沿っていない」「迷走している」と感じることも多々ありますし、このまま迷走が続けば将来性はあまり期待できないのかもしれません。
最後に
今回は、営業職と介護職を比較してその違いを解説しました。
どんな仕事でも大変なのは間違いがないでしょう。
そしてどんな仕事にも良い部分と悪い部分があります。
しかし、「介護の常識は世間の非常識」と揶揄されるような現実があることも事実です。
せっかくこれだけ市場を拡大していける土壌があるのですから、他の業界を見習って「自分のために」「従業員のために」「従業員の家族のために」「従業員の幸せが利用者の幸せに繋がる」という常識的な方針になっていけば、今よりも断然良い業界になっていくのではないでしょうか。
コメント
こういう記事を待っていました。といっても、全記事に目を通してきているわけではありませんが・・・
職種自体は少ないものの、転職はちょこちょこしている身ですと、異業界・異職種の経験者の意見が聞きたいのです。しかし、介護って同業(同職種)他者転職が多い印象でめぼしい話がない感じがします。他業界もそうかもしれませんが。
そういえば、営業ってイメージでもスーツで、実際スーツですがそうなると業務に必要なものとして備品にはならないのでしょうかね?まして、業務に必要と認識して命令していれば法律上備品だと思うのですが?製造業でも業務に必要な工具を自前にさせている違法企業はあるようですし。
ブラック介護施設の折は、キラキラによるキラキラな理由で私服でした。そのくせ、指定がありました。それなら、ユニフォームにしろよケチ臭いとおもって、私は逆らっていましたけど。いちおう、キラキラ職員(実質トップ、当時)とはいえ強制ではないとのことだったので。
ノルマらしい仕事にはついたことはありませんが、記事とおり時間というノルマがあるんですよね。何時までにこれみたいな。
ギリギリユニットではなかった時代もそうでしたが、ブラック介護施設時にユニットケアをしって、正直馬鹿じゃないのと思いましたね。正直ユニットケアは悪弊しかない。
流れ作業ってキラキラな業界人が侮蔑していますが、全然問題ないですよ。むしろ、こっちの方が入居者は落ち着いているし。
食事量が少ないからと、すすめたりして挙句床にまき散らしているのが、ニンゲンアツカイでしょうか。その人という一オトナアツカイでしょうか。ガキですよ子供ですよ。
赤ちゃん言葉よりもひどい子ども扱いだと思います。
評価制度もそのブラック介護施設で経験しましたが、バカバカしいです。ブラックほどこういうことが好きってホントですね。それより以前に勤めた介護施設ではまだ、新任職員の習熟程度だけだったのに、思い返してもばかばかしいです。
定年までは続けるようなものではないと思います。定年後再雇用って方々も見てきましたが、腰バンドとかで騙せていられればいいですけど・・・
>めど立てたい人さん
こんばんは~
コメントありがとうございます^^
例えばホテルなどのフロントマンは会社が制服(ジャケットやスーツ)を支給していることが多いようです。
つまり、全スタッフに同じものを着て欲しいのでしょうね。
営業マンの場合はそうではない場合が多く、個々が黒や紺や灰色やストライプのスーツを着ています。
会社がそれでも問題がないと思っているからでしょうね。
ですから、制服として統一したいかそうではないかという部分が大きいのではないかと思っています。
介護事業所の評価制度で見聞きしているのは、最初に自己評価をさせるらしいですね。
「それって必要?」と思ってしまいます。
色々な意味で試されているようでいけ好かない感じです。
どんな仕事も、しんどくて大変な部分がありますね。大変さの種類が違いますけど。
でもそのしんどさ・大変さがわりと許容できて、それ以外にまあまあいいかも?って思えるところがあるならば、その仕事はわりと続くから。
それが「その仕事は自分にむいている」ってことなんでしょうね。
私は、「同じことの繰り返し」「決まりきったことをきっちりやらないといけない」って仕事が向いてるので、飲食とか介護とかサービス業はわりとむいてるかも・・と思っています。
逆に「常に新しいことを考えなければならない」研究開発職とかは全くむいていませんでした。新しいことが考えつかないんですよね。www
介護の仕事のいいところってなんだろう。
一番のメリットは家から歩いて3分のところに職場があること。これは他の仕事ではありえないよね。通勤時間が長いと、実質拘束時間が長くなっちゃう。通勤時間は給料出ませんもんね。
あとは長いこといるので、今さら私にごちゃごちゃ言ってくる人がいないこと。逆に、何か気に入らないことがあると、やめるやめる詐欺が始まるから。www
年をとっても仕事が続けられそうなこと。実際60歳のスタッフが何人もいるし、自分も60過ぎても運転手などで働き続けられたらいいかも。
困ってるのは、アレルギーがひどくなることかなあ。今はだいぶよくなりましたが・・。
介護の仕事をすることのメリットを考えて、そのメリットを増やしていけば、介護の仕事を始める人や続ける人が増えるのかもしれませんね。
個人的には、若い人は介護の仕事には来なくて、50歳以上の中高年が来ると思うんですよね。その人らをうまく定着させられるような方策を考えないとダメかも。
>デイちゃんさん
こんばんは~
コメントありがとうございます^^
やはり最終的には「割に合うか」というところですね。
徒歩3分は魅力的ですね。
メリットが増えていけばいいですね。
「やりがい」はもう聞き飽きたので、他のメリットを示して欲しいところです。