事業所によってポスト数や呼び方が異なってくるでしょうが、介護職にも複数の役職があります。
例えば、
- サブリーダー
- 介護リーダー(ユニットリーダー)
- 介護副主任
- 介護主任
- 介護係長
- 介護課長
- 介護部長
などになります。
但し、サブリーダーは役職手当がつかず責任だけ押し付けられるポストであったり、介護リーダーは日替わり弁当のようにいとも容易く首が挿げ変わるポストであるため、「役職というよりも持ち回りの当番制のような存在である」ということは過去記事でもご紹介した通りです(下記記事参照)。
それでも介護事業所が「サブリーダーもユニットリーダーも役職の1つである」という認識をしていることには違和感を覚えますが、その点については今回は割愛します。
サブリーダーもユニットリーダーも役職だとして考えた場合、それらの役職を兼務している介護職が存在する介護事業所もあるのではないでしょうか。
今回は役職兼務をしている介護職がいる介護事業所が危険である理由をご紹介したいと思います。
役職兼務をしている介護職がいる介護事業所が危険である3つの理由
介護職の役職兼務とは例えば、
- ユニットリーダー兼介護主任
- 介護主任兼介護係長
- 介護課長兼介護部長
などになります。
役職兼務をしている介護職がいると何故危険なのでしょうか。
また、どのように危険なのでしょうか。
以下で解説していきます。
理由①:人員不足だから危険
役職兼務をしている介護職が存在する一番の理由は、人員不足であるために誰かが役職を掛け持ちしないとポストが余ってしまうという理由が挙げられます。
つまり、人員不足だから危険なのです。
人員不足であれば、
- 業務過多
- ストレスの温床
- 事故などの発生確率が高くなる
などが常態化してしまうため決して良い職場環境とは言えません。
そんな環境であれば「自分を守るだけで精一杯」となり、良い仕事もできませんし危険なのです。
理由②:人材育成ができない環境だから危険
いくら人員不足だと言っても、介護職の総人数より役職のポスト数が多いわけはありませんから、役職を兼務する人がいる時点でおかしいことに気づきます。
この点について突き詰めて考えていくと、「役職者にできる人材が育っていない」ということになります。
つまり、介護事業所が中間管理職を育成する体制や能力がないため危険なのです。
もっと言えば、「役職そのものに魅力がない」のです。
役職者を育成する体制も能力もなく、役職に就くことの魅力さえ示せない介護事業所であるということは、その事業所の役職者も能力がないか若しくは能力があったとしても早々に逃げ出してしまうことでしょう。
そんな上司の下で働く介護職はもっと不幸であるため危険なのです。
理由③:兼務ありきで役職ポストを作っているため危険
一昔前の介護事業所は今ほど役職のポストは多くありませんでした。
介護保険制度が始まりユニットケアが導入されるまでは、介護事業所の介護職の役職は介護主任(及びフロアリーダーや副主任)がいる程度だったのではないでしょうか。
それが、ユニットケアが導入されると人員配置基準でユニットリーダーの配置が必須となり、その後も介護職員処遇改善加算が導入されたことで年々役職ポストの数も増えていきました。
何故なら、介護職員処遇改善加算を算定するためのキャリアパス要件の1つに、「職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系を整備すること」という項目があるからです。
つまり、加算を算定するために役職などのキャリアパス要件を整備しなければならず半ば仕方がなく役職ポストを創設した結果、中身の伴わない見切り発車の役職ポストになってしまっているのです。
もっと言えば、端から兼務ありきで役職ポストを作ってしまっているために、そもそも無駄な役職ポストであり形だけのキャリアパスとなっているので危険であると言えます。
兼務ありきの無駄な役職や形だけのキャリアパスが何故危険なのかと言うと、
- 無駄なことが判断できない事業所
- 結局は本来の目的である介護職のキャリアパスを実現できない
- 兼務させることで現場業務と管理業務の過重労働になる
というお粗末、且つ、本末転倒な結果になるからです。
最後に
今回は、役職兼務をしている介護職がいる介護事業所が危険である3つの理由について記事を書きました。
まとめると、
- 人員不足だから危険
- 人材育成ができない環境だから危険
- 兼務ありきの役職ポストは本末転倒だから危険
ということになります。
魅力のない役職ポストを作っても結局は誰かが兼務をしたり、リーダー級の職員から先に逃げ出すように退職していくような本末転倒な環境であれば一体何がしたいのかさえわからなくなってしまいます。
「介護主任兼ユニットリーダー」という肩書の職員がいるような介護事業所には、記事中に書いたような危険を孕んでいる可能性があるため注意が必要です。
コメント
実は今働いてる施設では管理者、ケアマネジャーが居なくなって、その上の人間が他の施設兼任での運営となっていて、ご利用者さんの事を知らない人がケアマネジャーをやってます。人手不足は当たり前、目の前の業務をこなすだけに必死な人達が多い、若い社員を育てられない、辞めてしまう、なので細かい気配りなんて無理です。この悪循環をなんとかするには介護士からだけでは変えられません、これからの介護される人達の意識を変えないと、と思い行動する事にしました、微力ではありますが介護の内容、実態を知ってもらい、気を向けてもらう、自分達の問題なのだと。皆、介護が自分に関係ないと無関心、自分には出来ない仕事の第三位、内情を知らなすぎ。どう思いますか?Aさん。
>ミン太郎さん
こんにちは~
コメントありがとうございます^^
おっしゃる通りだと思います。
現場職員だけでは限界がありますよね。
もっと世間の人にも目を向けてもらう必要があると思います。
とは言え、介護現場の実態を伝えようとするとネガティブなことも多く、業界の中にはそういったネガティブ部分を封殺したり隠蔽したがる風潮があるのも事実です。
ですから、こぞって実態を隠したままのポジティブキャンペーンばかりが行われていますがそれでは何も変わらないでしょう。
ポジティブもネガティブも全部さらけ出した上で更に良くなっていく努力や改善が必要で、そういったリアルな実態や過程を世間の人に知ってもらうことが大切だと思っています。
いずれは自分も介護をされる側になったり家族がそうなる可能性が十分にあるわけですから、まずは目を向けてもらうために行動することは素晴らしいことだと思います^^
勉強になりました。
>キッチン マットさん
こんばんは~
コメントありがとうございます^^
ご参考になれば幸いです。
ホント外道でした。こういう人間にはなりたくないですね。気をつけていきたいです。
結局その事務長辞めて次に勤めた法人でケアマネしてたんですが仕事やらなくて持ち場ほったらかしで女性職員とばかり話していて退職に追い込まれたそうです。ホントツケがきたなと思いました。
>かずさん
己の愚かさを気づけない人はいつまで経っても気づけないですからね。
そういう人のことを外道と呼ぶようですね。
本当に周りに助けてもらってたからできてたという感じです。あの頃は。フォローしてくれた職員とケアマネにはホント感謝です。
主任相談員はもともとケアハウスの職員で経験ゼロで特養できてから主任相談員になった人です。オープン前に職員は他の施設に行って研修してきたけどその人何を聞いてきたんだか、それかプライド高い人だったから解らないところとか聞けなかったとか…。僕は研修先の相談員が現場上がりの人で色々詳しく教えてくれたのでそれをもとになんとかこなせましたが…。事務長も相談員上がりですが主任相談員に何も教える事ができませんでした。やっぱりブライドだけは高い人でしたね。聞く事も教える事もできない。そのくせ自分ができないと思った人間は切り捨てる。そんなんじゃ滅茶苦茶になりますよね。Aさんの言うとおり人材育成できない環境でしたね。で、やる人間に負担がくる…。ホント最低な事務長と主任相談員でした。ほんと反面教師にしたい人達です。
>かずさん
人を使い捨てにするようなやり方をしていると必ずそのツケがきますね。
実際に今現在ツケがきている人や事業所が結構あるような気がします。
実際オープンしてから一年間はほとんど休んだ記憶ありません。その時は若くて独りだったのとワーカホリック状態だったからできたのかもしれませんが、やはり疲れはたまっていました。実際新しい相談員が来た時安心したのか疲れがどっと出て体調崩しました。あと、事務長に時間外手当申請したら法人規定で相談員は役職手当が出るらしく『役職手当もらってるから出るわけないじゃん』と冷たくあしらわれました。今でもはっきりおぼえてます。事務長もこんな性格だから別の施設でも人間関係トラブル絶えなかったそうです。
しかしいい経験になったなと思います。
頭きた事もありましたが真面目にやってましたのでショートで担当した利用者のなかでは自分を気に入ってくれて、亡くなった時『ウチの母生前大変お世話になりましたと感謝してました、本当にありがとうございました』と言ってくれた家族がいました。やってて良かったと嬉しくなりました。色々な利用者を送迎して道も詳しくなりましたし、色々な人間模様も見れて勉強になった事もありました。ケアマネのなかでも僕が1人で頑張って大変だという事わかってくれてた人いて他のケアマネにフォロー入れてくれてたみたいでクレームも少なかったのが幸いでした。人との関わりの大切さを改めて勉強させられました。正直今の職場より自分は生きているという実感ありましたね。しかし、やっぱり兼務はいけないですね、下手したら身も心も蝕まれますから。自分は周りのフォローあったから助かりましたがそれがなかったらと思うとぞっとします。兼務ではなく職員どうしフォローしあっていく職場環境作りが理想ですが…人手不足の今は難しいですね…。いつも長くなってすいません。
>かずさん
返信ありがとうございます^^
一昔前は今よりもコンプライアンスが軽視されていましたから、サービス残業や奉仕という名のやりがい搾取が顕著な傾向がありましたね。
おっしゃっているように、介護はチームでやっているのですから最終的には職員同士でのフォロー体制が必要不可欠ですね。
僕が以前デイの相談員してた社会福祉法人ではオープンしてまもなく主任相談員が仕事真面目にしなくてユニットが全然埋まりませんでした。という訳で主任相談員に入所を専念させるため僕がショートの相談員を兼務する事となりました。
当然やる業務が増えて休みなくなりました。主任相談員はどこふく風で相変わらず真面目に仕事しませんでした。僕はしまいには人手不足のユニットのシフトに入って…。命じたのは事務長ですが僕に仕事振るくせに主任相談員には何も言えないんですよ。僕が文句言ってもニヤニヤしてるだけ、何のための事務長だよ!ってホント頭にきました。そのうち主任相談員は職員から顰蹙かって逆ギレして辞めていきました。事務長も仕事せず駐車場で✉️したりユニットの職員としゃべってばかりで…。事務長も全部ほっぽりなげて辞めてきました。
結局兼務して毎日残業休みなしでやっていた自分が一番大変でした。その後はちゃんとした相談員二人雇ってデイの相談員に戻れましたが兼務してた頃は余裕なくて怒りまくってました。兼務してた頃はデイの地固めもままならずしばらくは利用者が増えない状態となり…。自分も相談員初心者で能力不足でしたが…ホント兼務はいけませんね。臨時ならともかくやる人間になんでもやらせちゃえって考えの事務長にも腹が立ちました。
14年たった今となっては懐かしい思い出ですが…。
>かずさん
こんばんは~
コメントありがとうございます^^
介護職の役職ではなく同一法人内の他職種や他事業所での兼務パターンもありますね。
ショートステイなどの居宅系は利用者一人一人の担当ケアマネも主治医も違いますし、月次報告や実績表などで他事業所へ訪問したり入所希望者の面接をしたりと兼務だと相当忙しいでしょうね。
何が恐ろしいかと言えば、無理してこなしてしまうと「やればできるじゃん」となってしまいやることが当たり前になってしまったり更なる負担を被せられることですね。
かと言って、できなければ文句を言われたりしますから困ったものです。
まぁ、色々な経験をしてみることは悪いことではありませんし自分のキャパシティを広げることにも繋がりますが、その分の対価はしっかり欲しいところですね。